「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「紫蘭と遊ぶ」

2014-04-22 12:18:53 | 和歌

 「うつろ庵」の紫蘭が咲いた。

 ムスカリの咲き残りがちらほらする花壇に、紫蘭の葉と共に多数の莟が出始めたと 
思ったら、春の陽ざしをうけて忽ち花穂を伸ばして、莟が膨らんだ。

 石畳を踏んで虚庵夫人と共に花々にご挨拶するのが、毎朝の
長閑な日課であるが、目に見えての成長は嬉しい愕きだ。

 莟の縞模様も緑葉に交じって、 なかなか乙な趣きがあるが、莟が
膨らんでくると開花の期待に胸がときめく。

 そんな期待を担って、先ずは一輪が花開いた。 朝日を浴びた紫蘭の花に、虚庵
夫妻はしばし見惚れた。

 ふと気が付けば、幅広の葉に紫蘭の花陰がくっきりと落ちて、花を咲かせてくれた母なる葉に、ご挨拶しているかの風情であった。

 花穂が風に揺れる姿を目を細めて眺めている間に、何時やら狭い「うつろ庵」の花壇は紫蘭で溢れるこの頃だ。

 「うつろ庵」の紫蘭は、葉の縁にごく細い斑が入る洒落た品種だが、ごく控えめの斑入りゆえ、花の品格を損なわないのがよい。あれこれと紫蘭と語り、飽きずに遊んでもらう虚庵夫妻である。




           ムスカリに次いで紫蘭は葉を伸ばし

           莟の縞の模様も粋かな


           日をおかず膨らむ莟にときめきを

           託せば応えて一輪咲くかな


           幅広の緑葉に落とす花陰は

           開花の感謝を囁く姿か


           あれやこれ飽かずに語らひ重ねれば  

           何時しか紫蘭の溢れる苑かな