花を愛でる住み人の機転と言おうか、はたま自然の逞しさと言おうか、縁石のごく僅かな隙間に根を張り、花を咲かせている「すみれ」に出会った。
住宅街の道路の縁石はごく普通のコンクリート製で、敷き詰められたブロックとの隙間は、精々1・2ミリ程度だった。態々この隙間に菫の種を蒔いたとは考え難い。
多分、住み人がプランターなどへの種まきの際に種をこぼし、それが隙間に落ち込んだものだろう。
それにしても、殆ど土も無いコンクリートの隙間で、根を張り、花を咲かせる逞しさには目を瞠り、脱帽だ。人間社会でこれ程の逞しさを備えていれば、そのご仁の人生は間違いなしに立派な成果を挙げることであろう。 余命幾ばくもない虚庵居士だが、「縁石のすみれ」の貴重な訓えを活かせられるだろうか 。
道端に 一列に咲くすみれかな
ふと気が付けば 縁石の隙間ぞ
土も無く僅かな隙間に根を下ろし
菫咲くとは 神のご加護か
住み人の心のほどを偲ぶかな
めで慈しむ姿は見えずも