葉山で虚庵夫人とのゴルフを楽しみ、車での帰路に、大樹の下で木漏れ日を
浴びる「三椏の花」に出会った。
木漏れ日とは云いながら、大樹が被う天蓋の葉が薄暗い木陰を成していたので、三椏が暗闇にぼんやりと浮かんでいた。酔眼朦朧の虚庵居士にとっては、夢の中で朧に浮かぶ三椏の花に出会った感じで、「ハッ」として車を止めて貰った。
虚庵居士の最近のゴルフは、Hennessyのポケット瓶を携え、ナイスショットのご褒美に一口、ミスパットの悔しさを紛らわして一口などと、ゴルフと酩酊の二刀流だ。
更に、ランチではお決まりのホットドリンクを愉しむので、帰路のマイカー運転は虚庵夫人にお任せとなる。
酔眼朦朧で、車窓から眺めた三椏の花は、天国の花かと思われた。
酔眼朦朧でカメラを構えても、ピントが合わせられる筈もない。
しばらくの間カメラと格闘した。 カメラに収めた画像と、三椏の優雅な花の現物との区別がつかなくなって、車の助手席に戻った。 虚庵夫人はそんな酩酊老人の三椏撮影を、辛抱強くジッと待ってくれていた。
樹の下の日陰に浮かぶは花かしらむ
夢かうつつか車に揺られて
木漏れ日に朧に咲くは三椏か
手招きするらし ぼんぼり花ゆれ
車とめて近くに観れば三椏の
小花群れ咲き爺を迎えぬ
心地よく酔眼朦朧 写さむと
構えるカメラのピントは合わずも
ピンボケの三椏の花は目の前の
朧に浮かぶまことの姿か