三浦半島には様々な谷戸道が散在するので、虚庵夫妻は散歩道に勝手ながら
Aコース・Bコース等と名付けて、「今日はどのコースをお散歩しますか?」と、コースの選択もお遊びの一つになっている。
自宅の門を出たのはまだ4時前で、この「紅白のオキザリス」の前に来たときには、子供たちが元気に遊んでいた。
じじ・ばばの散歩姿を見て、子供たちは声をあげて走って来た。
勢い余って谷戸道を飛び出しはせぬか、オキザリスの花を踏はせぬか、などと心配したが、子供たちは機敏だった。
じじ・ばばの眼前でパッと止まって
笑い転げていた。
子供達に手を振ってバイバイしてから、どれほど経たであろうか。 帰りには子供達の姿も声もなく、オキザリスの白花だけが外灯に浮かんでいた。
谷戸道に足を踏み入れ程なくも
子等の元気な声が迎えぬ
じじ・ばばの姿を見つけて駆け寄れば
手を揚げ声揚げ 制するじじ・ばば
谷戸道の石垣跳び越えオキザリスを
踏みはせぬかとハラハラなるぞも
さよならと手を振るじじ・ばば 子供らも
手を振り声あげ バイバイ~バイバイ~
おなじ道 帰れば子等の 声もなく
仄かな灯りに 浮かぶ花かも