「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ヴェルニー公園のバラ苑」 そのニ

2010-06-26 00:30:14 | 和歌

 蔓バラがピンクの花で埋まり、株元には花びらをまき散らしていた。

 バラの名前を確認しようと足を踏み出して、まだ五・六メートル程も距離があったが、そよ風が甘い香りを運んできて、虚庵居士を歓待してくれた。蔓バラは「ラベンダーラッシー」と銘板に書かれていた。殆どのバラがフランス種の中で、数少ない独逸種だが、ガッチリと設えられたフレームに支えられて、ひと際
目立つ存在であった。

 深紅の「グラフレナート」は、数株が程良く配置され、今まさに花時を迎えて上品な佇まいであった。




   左: ラベンダーラッシー(独)
   右: グラフレナート


            蔓バラの花の名前を確かめむと

            近づく前に香りが迎えぬ

         
            八重の花重なりあいて豊満な

            Lassie嬢の Hugの歓待!




 広い芝生を背に、「ルージュメイアン」が遊歩道に沿って可なりの数の株が植えられていて、見応えがあった。

 ここのバラ苑は専門家が手入れを怠らず、花時を過ぎた花柄は丁寧に摘み取られているので、どの株を見ても大変清々しい。一般的な市民公園では、花木を植えて花を楽しむのは大いに結構だが、殆どの公園で萎れた花柄がそのまま放置され、却って見苦しい姿を晒すのは、花木にとっても不本意であろう。一口に「花柄摘み」とは云うものの、人手がかかることを考えれば、個人のお宅の庭園ではいざ知らず、公園では殆ど無理な注文だ。しかしながら、ここ「ヴェルニー公園のバラ苑」ではそれが出来ているから、頭が下がる。想像だが、薔薇好きの市民の皆さんが、ボランテアをかって出ているのかもしれないが、
花にとっても花好きな市民にとっても、そしてまた訪れる皆さんにもこの上ない「バラ苑」が維持されているのは、一市民としても誇りにしたい。






    左右とも: ルージュメイアン




            紅のバラ伸びやかに咲きたちぬ

            おのれの花を誇るが如くに


            見渡せば花柄一つも無き苑に

            バラを誇れる憶を汲むかな


            思ふらく数多の人々バラに恋ひ

            清しき姿を見せまほしとや