蔓バラがピンクの花で埋まり、株元には花びらをまき散らしていた。
バラの名前を確認しようと足を踏み出して、まだ五・六メートル程も距離があったが、そよ風が甘い香りを運んできて、虚庵居士を歓待してくれた。蔓バラは「ラベンダーラッシー」と銘板に書かれていた。殆どのバラがフランス種の中で、数少ない独逸種だが、ガッチリと設えられたフレームに支えられて、ひと際
目立つ存在であった。
深紅の「グラフレナート」は、数株が程良く配置され、今まさに花時を迎えて上品な佇まいであった。
左: ラベンダーラッシー(独)
右: グラフレナート
蔓バラの花の名前を確かめむと
近づく前に香りが迎えぬ
八重の花重なりあいて豊満な
Lassie嬢の Hugの歓待!
広い芝生を背に、「ルージュメイアン」が遊歩道に沿って可なりの数の株が植えられていて、見応えがあった。
ここのバラ苑は専門家が手入れを怠らず、花時を過ぎた花柄は丁寧に摘み取られているので、どの株を見ても大変清々しい。一般的な市民公園では、花木を植えて花を楽しむのは大いに結構だが、殆どの公園で萎れた花柄がそのまま放置され、却って見苦しい姿を晒すのは、花木にとっても不本意であろう。一口に「花柄摘み」とは云うものの、人手がかかることを考えれば、個人のお宅の庭園ではいざ知らず、公園では殆ど無理な注文だ。しかしながら、ここ「ヴェルニー公園のバラ苑」ではそれが出来ているから、頭が下がる。想像だが、薔薇好きの市民の皆さんが、ボランテアをかって出ているのかもしれないが、
花にとっても花好きな市民にとっても、そしてまた訪れる皆さんにもこの上ない「バラ苑」が維持されているのは、一市民としても誇りにしたい。
左右とも: ルージュメイアン
紅のバラ伸びやかに咲きたちぬ
おのれの花を誇るが如くに
見渡せば花柄一つも無き苑に
バラを誇れる憶を汲むかな
思ふらく数多の人々バラに恋ひ
清しき姿を見せまほしとや
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