「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「乙女のサルビア」

2010-06-19 12:59:52 | 和歌
 
 「うつろ庵」の椿の木陰で、「乙女のサルビア」が咲いた。

 正しい花の名前は「サルビア・ミクロフィラ・ホットリップス」だが、こんな長い名前は頂けないので、勝手ではあるが「うつろ庵」では「乙女のサルビア」と呼ぶことにした。花びらの縁に仄かな朱がさして、如何にも乙女の初々しさを思わせる。この呼名は「いける」のではあるまいか。

 椿の木陰に育ち、日あたりが十分でなかったのが原因かもしれないが、花びらの縁色は、本来だと鮮やかな深紅に咲くはずだ。白い花びらの鮮やかな深紅の縁どりは、まさしく情熱的な唇、「ホットリップス」を思わせる。「ホットリップス」にならなかったのは残念だが、仄かな朱がさして、乙女の初々しさを連想させるこの気色も捨てがたいではないか。

 




            あるがまま そのままがよし花の名は

            「乙女のサルビア」君に捧げむ


            生い茂る椿の枝葉のその陰に

            ふた花咲くかな乙女のサルビア


            たそがれの風に揺れるも相ともに

            寄りそう侭なる二つ花かな


            夕闇の乙女のサルビアほの白く

            もの語るらし幽かに揺れるは