草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

2016-07-04 17:09:30 | おでかけ



伊藤昌美さんの作品を観てきた。
初めてである。

絵画から入られた方だけあってか、
亡くなるまでの20数年間、70点余りの作陶の随所に絵が感じられた。
それは、当然といえば当然なのだろうが、
ワタシのうちに残ったものは、
あちこちにある___線___だった。


眠れない夜、暗闇に目を凝らしていたい藍の世界に眠る猫。
不思議な感覚にとらわれる赤い線、黒茶の線の小さな花活け。
黒地に大胆な土蜘蛛の糸が絡みつく大きな花入れは、
今なら真っ白いアジサイをたっぷりと放り込みたい。
鳥渡る空を引っかくのは雨なのか、それとも風なのか、
はたまた、雲から漏れる薄日なのだろうか。
そして、
DMで見たとき、一瞬、鉄かと思った黒陶のラクダの群像でさえも。
線、線、線、線を感じた。






それら一つ一つをゆったりとした足取りで見ていると、
クレーの絵に促され書いたという、谷川俊太郎の詩が浮かんできた。


     おのずから
     線は繁茂し
     無をさえぎった

     文字はほどけ
     その意味するところの
     ものに帰る
  

    
伊藤さんは、何を見ていたのだろうか。
今となっては聞こうにも聞けやしないが・・・・


     緯度はほどけ
     新しいフローラが
     世界をおおう

     けれどほどいても
     ほどいても魂は
     もつれたまま・・・



いや、たとえ生きておられても、
それを聞くことはできないのかもしれない。
言葉では・・・・







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