草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

雨の言葉

2016-06-29 17:12:03 | 山の暮らし
あれは夢だったのだろうか。
思わず、以前のブログを開いてみた。
2010年11月14、そして15日と。
ああ、確かに豊かな時間はあったのだ。

あの時のピアニスト、志村さんがひょっこりいらした。
そして、自主制作のCDを置いていってくださった。

志村さんが作られた曲。
たゆみなく雨ふる夕暮れに聴いてみる。
志村さんの静かなピアノの音の上を、お嬢さんの伸びやかな声が歌う。



      わたしがすこし冷えているのは
      糠雨のなかにたったひとりで
      あるきまわっていたせいだ
      わたしの掌は 額は 湿ったまま
      いつかしらわたしは暗くなり
      ここにこうして凭れていると
      あかりのつくのが待たれます

      そとはまだ音もないかすかな雨が
      人のいない川の上に 屋根に
      人の傘の上に 降りつづけ
      あれはいつまでもさまよいつづけ
      やがてけぶる霧にかわります・・・・

      知らなかったし望みもしなかった
      一日のことをわたしに教えながら
      静かさのことを 熱い昼間のことを
      雨のかすかなつぶやきは こうして
      不意にいろいろとかわります
      わたしはそれを聞きながら
      いつかいつものように眠ります
      
            ____ 立原道造『雨の言葉』____     




あの時は思った。
ひとりひとりに在る
それぞれの豊穣なる時。

だが、今は思う。
その時が、キミには在るのだろうか。
そして、
ワタシにも・・・・


今が、
それに繋がるひとつの時であってほしいと願い、祈る。





               

          ぽつぼつぼとぽつ、ぼつぼとぽつぼつ・・・・
          「木々の、花々の、作物の
          いつか来る豊穣の時を、私は知っているのだよ」と、雨がつぶやいた。。



花ざかり

2016-06-22 18:18:47 | 山の暮らし






    たえまなくあちらこちらへ
    花盛りの枝が風に揺れ動く
    たえまなく ゆらゆらと
    私の心が子どものように揺れ動く
    晴れた日と曇った日のあいだを
    欲望と諦めのあいだを。

    花々が風に散って
    枝が実をつけるまで
    心が幼年期に飽きて
    おちつきを得て こう告白するまで
    不安にみちた生のたわむれは
    喜びにみち むだではなかったと。

       ___ヘルマン・ヘッセ『花盛りの枝』___




このあいだまで、満開を誇っていたヤマボウシやナツロウバイは、
今、あちこちで次々と咲いては散るシャラに時を譲り、
その一連の営みは、
毎日、ワタシを飽きさせない。

緑の丸く硬い小さなものが、
白く光沢のある、そう大きな真珠のようになったかと思うと、
ある日、ほわっと気品のある白い花びらを開かせている。
そして、
知らぬ間に、それはぽとりと地に落ちている。
音もたてずに。

その潔さを、
ワタシは飽きもせずに眺めている。
淡々たる営み。
しだいに、穏やかさがワタシの心を領してゆく。


これは、
こんなことは、なんでもないことなのだと。




 
 
 
 
 






             今、わが庭は花盛り。

             ジューンベリーは、
             今年もたくさんの実を付けた。
             鳥もワタシも食べきれないほど。
             ジャムにでもしようかな。。

ザンネン!

2016-06-10 11:25:14 | 山の暮らし
ウォーキングを終え、もうすぐ、ウチ。
と、
なんだか我が家の前が物々しい。
警備員に聞くと、電柱を立てているとのこと。
えっ!
急いで家に向かうと、あらあらあらあら・・・・







9年前、この家を建てるにあたって、
建築家は、あえて西向きに。
それは、
ワタシが、いつも座る場所からの景色が一番美しいから。
でも、そこからの眺めに邪魔なものがあった。電柱だ。
そこで、
ワタシは、電柱が隠れるようにすぐにブナの木を植えてもらった。

ああ、それなのに、それなのに。

今日、その電柱の横にもう一本の電柱が立ってしまった。
悲しいったらありゃしない。


先日、
ここらはAUの電波が届かないというので、電柱を立てるという業者が回ってきて、
ウチの敷地の話も出たが、もちろんNO.
結局、ウチから離れた場所を検討しているといわれ、ほっとしていたのに。




      9年経つと、周りの木々はぐんと伸び、
      道を隔てたナラの木々が邪魔をし、
      確かに、向こうの小野子山の姿は4分の1位しか見えなくなってしまってはいるのだが・・・・

      それでも、ナラの木はいつか切ってくれるかもと淡い期待もあったが、
      電柱は・・・・

      残念、残念、残念。。



     

御巣鷹山

2016-06-08 09:46:34 | おでかけ
あまたの碑の林立する中を歩いてきた。


木があった
風があった
土があった
言葉がなかった

31年が経とうというのに

黒く焼けた大木があった
魂に寄り添う風があった
悲しみを抱く土があった

そして
押し殺した言葉があった


あれから31年が経とうというのに













慰霊の登山を待っていたかのように当地も梅雨に入った。

今年はどうしたことか。
いつまでも寒さが抜けきらず、ストーブの掃除ができずにいる。


霧に覆われた今日は、
薪ストーブの前で、グリュミオーのヴァイオリンをノイズの入ったレコードで聴いていたが、
突然途切れた人生のひとつひとつ、あの日を想い、切なくなってしまった。

     武満徹のノヴェンバーステップスにしよう。。



       
          ゆうぐれの陽のなかを
          三人の児が
          ななめの畑をのぼってゆく
          みていれば なきたい
              〇
          ああちゃん!
          むやみと
          はらっぱをあるきながら
          ああちゃん と
          よんでみた
          こいびとの名でもない
          ははの名でもない
          だれのでもない
             ____ 八木重吉「ことば」____









        


合わない靴

2016-06-04 17:25:49 | 山の暮らし



わざわざ東京まで出かけ、
しかも2時間もかけて補正をしてもらったというのに・・・・

足の指骨折のリハビリに通っている病院で相談したら、
理学療法士が、あちこちに変なものを張り付けて改めて補正をしてくださった。
見た目が・・・・と躊躇したが、
履けないよりはマシかと。

なのに・・・・
やっぱり靴擦れで履けない。


このところ、どうもついていない。

お金をかけて、時間をかけて、
ジュエリー作家にオーダーしたピアスも片方なくしてしまった。
この小さな家、落としたところは限られている。
散々探したが見つからない。

モノを買うなということか。


    というので?
    今回、真〇テキスタイルの緑の素敵なストール、
    諦めたヨ。。