草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

茶番劇『除染』

2013-12-28 16:35:11 | 山の暮らし
静かな山間の村が舞台。

そこから少し離れた場所で起きた原子力事故で、
長閑なその村に降ってわいた放射線量騒ぎ。

(第1幕)
長年の夢であった田舎暮らしのため、その村に移り住んだおばばが知ったのは、
その事故から半年後であった。
なんと、おばばの居住地あたりのみが国の規定値を超えていた。
おばばは、すぐに村に働きかけた。
が、「国が、国が・・・」とのらりくらり。
その上、高齢者の多い20軒ほどのこの集落、常住しない別荘が多いこの地区ではあまり関心もなさそうだった。

(第2幕)
そうして、時が流れ、事故から2年が経過した頃、
ようやく除染に向けての説明、調査が始まった。

説明会では、敷地内3か所、地上1mの空間線量を測定し、規定以上なら全面除染。
ソレ以下の場合では、ホットスポットの土をはぎ取り、新しい土を入れるというものであった。
そして、おばばの家はホットスポットのみということになった。
それでも、それは代表として一点を測定したのであって、
その周り一帯も同じ条件だから一緒に除染対象になるといわれ、おばばは少なからずほっとしたのだった。

(第3幕)
ところが、
実際、やる段階での説明では、
ホットスポットは1㎡以下しかやらないことに。
それでは、ほんのソコだけで、1m先の隣はたとえ高くてもそのまま。
あらあら。
それに、土を取り除き、新しい土を入れるのではなく、
天地返しといって、
一旦10cm取った土を、さらに20cm掘った底に入れ、上からその分の土で蓋をするやり方だそうだ。
汚染された土の置き場がないからということらしい。
あらあら、まあまあ。
しかも、
3月の時点では「ここも除染します」と言われた薪小屋裏は、対象から外されている。
書面では、規定値よりわずか0,01少なく記載されていた。
あらあら、まあまあ、おやおや。
まさか、数値の改ざんってことはないでしょうね。
薪小屋裏は狭くやりにくい場所なのだ。
役場に聞いても
「はい、改ざんしました」なぁ~んて言うはずもないし。

敷地全体を細かく測定することなんてできないだろうし、
どこかで、線引きしないとどうしようもないということはわかるが、
おばばは、どうも納得がいかない。
何度か役場に食い下がったが、
「国の方針です」の一点張り。
他の自治体では、独自にやるところもあるようだが、
なにしろ、
その村は、5億円をかけ、道の駅とやらを作り始めている。
高齢者の多い小さなには目が向かない。
かける暇も金もないということだろう。

結局、行政側は、
取りあえず、「除染はしました」と表明し、完了としたいらしい。
あぁあ~除染とは、形ばかり、名ばかり。


(終幕)
そして、暮れも押し迫ったある日の昼下がり、
突然、除染部隊登場。

400坪の敷地の中で、1㎡を2か所、汚染された土を20cmの深さに埋めただけ。
除染?は40分足らずで終了した。
散歩コースにもなっている周りの道も、通学路でないためやらないというし、
ああ、これでは、除染してもしなくても同じ?!
不安の払拭にはなっていませんけどぉ~



  




放射線、除染に振り回された2年余りだったが、
なぁ~にも変わり無し。
除染作業計画、実施に費やした時間もお金もムダ?






                  
          コレも運命か。
         
          命を知り、
          美しい景色、清浄な空気、
          穏やかな空間を求め、その村を終の棲家と移り住んだおばばは、
          深く長ーい溜息をひとつ。
          と、その時突然、
          何事もなかったようにド~ンと座った眼前の小野子山が、
          大きく木々を揺らしアハハッ。。
    
          おお!甚大な被害をこうむったにもかかわらず、
          馬鹿なニンゲンの浅はかな行為、考えを笑い飛ばす度量の広さよ。

          ___絶望の虚妄なること まさに希望に相同じい____
           

          おばばは
          大好物のとらやの羊羹でお茶をすすりながら
          忘れかけてたこの言葉を
          何度も何度も呟くのであった。


          茶番劇『除染』は、
          ハイ、これにておしまい。。
     
          

 
               





                 ちなみに、
                 おばば自前の線量計では、
                 除染前後の数値が全く同じというオチつき。。

                 あはっ。。
                 これは笑えるぅ~
                 さあさあ、皆さん。
                 今年の笑い納めといきましょ。
                 ワッハッハッハッ
                 

                 ワッハッハッハッ
                 ワッハッハッハッ
                 ワッハッハッハッ

クリスマスプレゼント

2013-12-21 05:12:57 | 山の暮らし



今年も母からクリスマスプレゼントが届く。

ここ数年、ワタシは、
大好物の熊本名物アベックラーメンと、いきなり団子をリクエストしている。
そして、
この懐かしいふるさとの味を、お世話になった方々におすそわけ。
この一年のあの人、その人の顔を浮かべながらのラッピングも楽しみだ。

でも、このささやかな楽しみも、
母が元気でいてくれるからこそ。のもの。


東京の大学に進学、卒業前に結婚し、そのまま群馬に来てしまった。
何の親孝行もせず、
今なお、やってもらうことばかり。
心配、世話をかけてしまっている心苦しさが、
いつもいつも胸を叩く。

『プレゼントを渡す人がいる』というのも、
うれしいものだからと、
自分に都合よく開き直ってみるものの・・・・

半世紀以上も当たり前のように、途切れることなく届いている
クリスマスや誕生日のプレゼント、そして、時時の心遣い。
でも、それらが、
いや、文字や声さえも、
届かなくなる日がいつかは来るのだ。




                クリスマスプレゼントの前を
                サビシサがそろり横切った。。




岐阜

2013-12-15 05:13:47 | おでかけ
 



何カ月も前から楽しみにしていた
内田鋼一さんの個展。

新幹線で行くつもりが、
アッシー君の都合がつき、
またもや関越道、上信越道、長野道、中央道を経て、
多治見の百草へ。

6時間を予定していたが、
2、30分前に到着。
早すぎたワと思ったが、
トンデモナイ。
すでに、車が10台ほど停まっているし、
寒い中、30人くらいが並んでいた。
整理券が配られ、開店時には50人ほどに。

そして、
ワタシが入った時は、
あらあら、作品はほとんどない?状態。
一人で10点以上抱えている人も。
さすが人気作家物だ。

その技法に関心があった鉄錆膳。
取り巻きの多さにたじろぎ、聞きそびれたことと合わせて、
一旦手にしたのに置いたため、
振り向いたら、既に人の手に渡っていた花器が
なんとも残念だった。




               ありとあらゆる情報手段に満ち溢れている今、
               人気の人やモノは、
               瞬く間に人から人へと伝わり、
               そして、雪だるま状に形成されていくのか、
               などと思いながらランチを摂った。
               雪でも降り出しそうな窓外に目をやると、
               そこには、
               人の群がりや思いなど、どこ吹く風の庭木があった。

               ワタシが知り、
               大らかなその作風に惹かれたのは10年ほど前だったか・・・・





東京

2013-12-09 04:54:26 | おでかけ



昨日、
イブラヒム恵美子さんの個展を観るため東京へ行ってきた。

渋谷に住む娘と目白で落ち合う。
久しぶりの電車で、
そこに行くまでにも右往左往。
歳取るほどに、東京行きが億劫になる。

美しいガラス絵を一緒にじっくり鑑賞した後、
地下鉄を乗り継いで、日本橋や新宿など数か所を回る。
ワタシは目をキョロキョロさせながら、娘の指示に従い、
腕にぶら下がり、人ごみの中必死について行く。
見たいもの、行きたい場所、
娘はスマホを自在に操り、探し出し、
事はスムースに運ぶ。
ワタシ一人ではこうはいかない。

便利さに感心し、
すっかり東京の人となった娘を頼もしく思いながらも、
胸が、キリキリするのはなぜか。

最近越したばかりのアパートは、
安普請のせいだろう、隣や階上の騒音に深夜まで悩まされるという。

この大都会でこういう生活を選んだ娘を前に、
言葉にできないコトバの欠片が唇を震わす。




              闇の中、くねくね山道を車で上って家に帰りつくと、
              普段の就寝時間をとうに過ぎていた。
              物音一つない、街灯一つないココに降り立ち、空を仰ぐ。
              観てきたばかりの
              イブラヒムさんの『静かな夜』と同じ満天の星。

              キンキン凍り始めた外気の中に、
              ワタシはしばし立ちつくす。

              ワタシは、流れ星を探していた。。
              
              
              












2013-12-04 13:47:12 | 山の暮らし
もうしばらくすれば
もうしばらくすれば
たとえ 今は枯れ果てていようとも

もうしばらくすれば
あなたの大好きなたくさんの花々が
次々に咲き始める そう思ってた


主のいない庭にも
また春はくるのだろうが

もう決して
降ってくるあの花びらを
この手のひらに受け止めることはできない







                  あなたの庭では
                  足元の小さな小さな白いバラ一輪と
                  色を失いかけたリンドウが
                  じっと 今を堪えていました
                  暗く沈んだ空の下
                  今日は 終日
                  高田三郎の合唱曲を聴いて過ごします

                  ありがとう あの花
                  さようなら あの花
                             

                  
                  
                         

再生

2013-12-01 16:49:24 | 山の暮らし



勝手口ドアの目隠しに、6年ほど下げていたが、
いよいよ破れてしまった。

昭和の蚊帳を柿渋で染めたり、脱色したりしたハギレを、
テキトーに縫い合わせていたもの。
ソレはそれで、
味があったのか、
いらした方々に好評だった。

今度のは、
北陸地方の古い着物地を蚊帳にし、それを脱色した布。
ちょちょいと縫って、新しく掛けてみた。
このほうがもっと古く、昭和初期のものらしいが、
単色なので面白味に欠ける。
が、仕方ない。


それにしても、
麻というのは丈夫なもんだ。
一世紀も前のものが、まだ活用できる。
コレも破れた個所だけ繕えば、まだ、まだ使えそう。
継ぎ当てすればよかったかな。






                 
                 質素な庶民の暮らしの中にあった麻。
                 いつか見た、
                 何度も何度も刺し子をして補強した着物の美しさが
                 思い出された。。