草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

深き秋

2011-10-30 12:34:45 | 山の暮らし
 



                送られつ 送りつ はては木曽の秋
                       ____芭蕉____

  

遠く名古屋からおいしい秋が届いた。
おいしいのなんのって!
控えめな甘さで、素朴な栗の風味が口いっぱいに広がる。
う~ん、おいしい。
栗好きのワタシ。
これまでにあらゆる栗きんとんを食したが、
コレが一番!?
先日の小布施の栗きんとん以上かな。。

「花火」と命名された細く切ったサツマイモ、
水飴を絡めたものと、塩味の2種。
こちらも皮つきがあったりと、素材がひきたつ旨さ。
ちょっとつまむつもりが、
イツァーク・パールマンの軽快なヴァイオリンの加勢もあって、
ひとりでた~んと食べ、昼食となった。





                ::::





八木重吉は、詩集「晩秋」の中で、
秋がふかくなって
あかるくなりきったようである
強いてものを考えずに
なるたけありのままに見たり聞いたりしていよう
と、詠った。


放射線のことやら、
身の回りに、色々と気の重いことも多かれど、
取りあえず、
周りの木々は、着実に色を変え、葉を落とし、
徐々に向こうが透けて明るくなってきている。

新緑のうれしさに対し、
落葉は、物悲しいと思っていたが、
そんなことはない。
空が広くなったような気がする。



今を見て、
今を聴いて、
今を生きよう。

心遣いを下さったKさんの
深い優しさを想いながら、そう思った。






蚕沙染め体験

2011-10-27 05:41:42 | 山の暮らし
 



貴重な天蚕、その糞で染める、
珍しい蚕沙染めの体験教室に参加してきた。

なんとも言えない、あの美しい薄緑色の糸を出す天蚕。
その糞で、黒に染めることができる。



  



1.灰を混ぜ、一晩おいた上澄み液に中に、
  木の実のような糞を入れ、煮ること30分。
2.出来た液を濾し、米酢で中和させ、布を入れる。
  85℃に保ちながら、くるくると30分くらい煮る。
3.40℃に冷ました後、布をしっかり絞って、
  錆びた釘と米酢、水で作って置いた鉄媒染液につける。
4.30分ほどちょこちょこかきかき混ぜ、山からの冷たい清水で洗う。
5.それを3度繰り返して出来上がり。









手染めとは、
いやはや、手間と時間のかかること。
温度、混ぜ方、時間に気を配りながらの、
手際良くと、じっくりの繰り返し。

朝10時に始め、午後6時過ぎの出来上がり。
でも、面白かったぁ。
染料はもちろんのこと、媒染も自然のもの。
そして、
流れる山の水に、ばざっばざっと勢いよく浸すのも快感。
癖になりソー。


これは、
もちろん、家蚕で、機械織りのシルクの沙織り布だが、
いつか、
天蚕糸の手織り布(目玉が飛び出すほど高価だけど)を、
天蚕の糞で漆黒に染めてみたいなぁ。。


おお!究極の贅沢!






                   そう云えば・・・・
                        20数年前のワタシ、
                        手織りと手染めを一度だけの体験で断念したことがあったっけ。。

暗暗

2011-10-21 17:21:07 | 山の暮らし




要望、その後。

村は渋々?動き出す。
県から線量計を借り、取りあえず村内数か所を測定し公表。
今後、国、県と協議し努力するとのこと。

努力って、なんだ。



やはり、この地区は高いようだ。
「ようだ」というのも___
この地区のわずか2か所でしか測っていないのだから。

日々の生活の場を測ってくれなきゃ。

たくさんの木、落ち葉や雨による汚泥に囲まれているような場所なんだから。
もっと、ずっと高い数値が出るのは明白!?

なのに、アレから、な~んにも。
7ヶ月間も放射線は積もりに積もっているというのに。
どうなってんだ。
天文台に少年自然の家、直売所にキャンプ場やらゴルフ場。
その上、はたまた福島からの被災者受け入れ所までを抱えているこの地区。
行政側の内意が見え隠れ?
だからこそ、早急にすべきなのに。
努力は、どこに?

これじゃ、
自分で線量計を購入し、
どこが危ない、どこなら大丈夫と
自分の行動範囲を調べながら、生活するしかない?



頑張って、備蓄したこの自慢の薪も、果たして使えるのか?
薪小屋の向かいには、取らずじまいのサツマイモ。
この薪を使ったストーブで、ほくほく楽しみにしたのに。
寒いなぁ。
暗いなぁ。。







                   ::::






今、話題の、
松崎博彦さんが、チェルノブイリの事故直後、
20年以上も前に作った『若狭炎上』。



          ものみなすべてが静まり返る 人々はみんな夢の中
          その時若狭に異変が起きる もうすぐ朝が来る午前四時
          原子炉が破裂しはじめている 冷却水も跳ね返される
          燃料棒が溶け始めている たった20分間の出来事
          ようやく国や県に連絡される 野良では人が働き始める

          燃料棒が溶け始める 炉の中はガスが充満し
          その時人々は朝を迎える 人々が動き出す午前六時
          いつものように出勤する人 人々は何も知らない
          放射能が剥きだしている 発電所には警報が響く
          ペイズリー模様の雲が湧き立ち 子供たちは学校へ走り出す

          ついに水素ガスが爆発する 事故発生から4時間後
          対策本部が招集される 人々はまだ何も知らない
          総理大臣にも連絡されるが 何の事だか理解できない
          放射能雲がひろがってゆく ものみな全て動き出している
          無色透明の放射能に 人々はまだ気づいていない

          非常事態は発表されるが 事実は発表されていない
          ラジオやテレビも報道始める 事実は報道されていない
          子供は突然家に帰され 屋内退避とはしゃいでいる
          放射能粒子が降り始める 事故発生から5時間後
          交通は混乱し始めている 人々はまだ事実を知らない

          メルトダウンが始まっている もう誰にも止められない
          周囲道路も封鎖されている 事故発生から6時間
          東京名古屋大阪の街は いつもの通りの時が流れる
          周辺の人は避難を始める もう誰にも止められない
          あいまいな会見を繰り返しては 人の不安をあおるだけだった。

          破滅的な蒸気爆発が 人々はまだ事実を知らない
          激しく放射能が発生する 事故発生から8時間
          交通網は完全に封鎖 人たちはパニックとなり
          屋外へ飛び出す人が続出 行政は会議を続けるだけ
          長い会議の結果といえば ヨウ素剤を配ることだった

          黒い雨が降りしきる町は 戒厳令で静まり返る
          狂ったように吠え続ける犬 静かな町に響き渡る
          手を尽くしようのない惨状の中で 人たちは危険を感じながらも
          すべての人たちは自分を守る 生き続けようと争い始める
          放射能が人の体を 人の心まで縛り始める

          自衛隊と機動隊が行く 彼らに何ができるのだろう
          吹き出し続ける放射能は今も 廃墟の町に降り続ける
          大臣たちが悩み続けても 彼らに何ができるのだろう
          あなたたちが少しでも早く このことに気づいていれば
          もっともっと生きられたのに もっともっと生きられたのに

          優しい人の住む町だった 冷たい風の吹く貧しい町だった
          美しい山と谷間の村だった 今はどうにもならないけれど
          きれいな道路が町に敷かれて 発電所景気に潤った町
          つかの間の夢から覚めた人たちは 今頃何を考えているのか
          何のため町は栄えて 町の歴史は消えたのだろう

          こうなることは分かっていたのに


OH!REAL

我が村も静かで美しかったのに。


そうそう、あの詩も思い出したワ。





                   見ろ 暗黒の海と陸をつらぬく
                   ウラニウムの雲を
                   聴け 沈黙の窓と屋根に降る
                   ヘリウムの雨を
                   そして ひとの子よ
                   みずからの手でほろびるな
                   生命あるものは いま
                   荒野をすすむ蝗にすぎない
                        ____木原孝一『黙示』より___








脱原発を掲げて、以前、落合恵子さんが言っていたように、
「知ろうとしなかった自分と、知らせようとしなかった国と、
自分の責任として引き寄せて、もう一度」しっかりと考えていかなければ・・・・

ひとは自らの手で滅びることに。
             
              
             
         

取りあえず・・・・要望

2011-10-12 05:31:42 | 山の暮らし




昨夜は、一年に一度の
村長を囲んでの地区別座談会だった。


ワタシは、満を持して、
一週間前にショックを受けた例のこと___
この地区の放射線量のことを話題にし、
詳細な検査を要望した。


区の皆さんは、一様に驚かれた様子。


そりゃそうだ。
県のHPでも見なきゃ、
この地区の線量の高さ、沈着量など知らないのであって。
HPなど見たことのない皆さんは、
村からの何がしかの広報がなかったことに憤り、
村の1%でしかないココは、忘れられた存在?なのかと。

ワタシ自身も、
HPを見なかったら、
たっぷりの放射線の中をウォーキングを続け、
勝手にできたカボチャやミニトマトを食べ続け、
相変わらず、地面に這いつくばって、
セシウムをいっぱい吸い込みながら、草むしりを続けていたのだから。


知らないことは、コワイことだ。


ウチの前の稲の作り手Yさんも、
早速、米の検査をしてもらうとおっしゃっていた。
そりゃそうだ。
南相馬やいわき市と同じくらいの空間線量、および沈着量で、
福島県の中央や西のほうの地域、会津若松などより、却って多いんだから。





      
            この美しい風景、
            ワタシは、今日も窓越しに。。
            

秋探訪

2011-10-11 02:49:03 | おでかけ



昨日は、
丁寧な仕立てと染めの服を手掛けておられる、
渡辺珠美さんの作品を見たくて松本へ。

一度見てみたいと思っていたが・・・・
先日の東京での展示会に行けず、
今回も、ブログによると、
初日で、ほとんどなくなってしまったというので、
「どうしようかな」と迷いはしたものの、
また、いつ見られるかもわからないので、
まあ、1点でも、その雰囲気を垣間見られたらと。


うん、
やっぱり、
3日目にして、作品の数はまばら。
うん、
でも、
思った通りのやさしさ。
リネンを中心に、丁寧に仕立てられた服が、
藍や柿渋、五倍子などで手染めされている。


大地に育まれたものが
人の手を介して服となり、
くたくたになるまで着古され、
きっと、またいつか大地に戻っていく。
そんな、
自然で、あたりまえの
謙虚なやさしさ。

それは、ずっとずっと昔から続いていたもの、
そして、続いていくもの。


数少ない中からワタシが選んだのは、
藍染めのプレーンなリネンシャツ。






                  ::::





そのあと、
久しぶりの小布施へ。







いやはや、
新栗を求めて?の人の賑わいにびっくり。

栗好きのワタシも、
あちこちの店の、
栗おこわに栗羊羹、栗どら焼きに栗鹿の子、栗最中や栗ソフトクリームと、
栗尽くしに終始したのは言うまでもない。



そして、
わが村とと同名の高山村を通って、
20年以上も前に訪れた山田牧場を懐かしんで、
志賀高原経由で帰途へ。











                 見下ろす山、
                 見上げる山は、赤や黄色に変わり、
                 遠望の山々を照らす夕陽は、
                 おおいに、秋を讃えていた。。



村民運動会

2011-10-09 12:29:38 | 山の暮らし




5年目にして、
村民運動会に駆り出された。
「徒競争じゃなければいいよ」ってことで、玉入れ競技に。

第49回ということなので、
随分歴史のある運動会なのだ。



村の地区が12に分かれての対抗戦。
わが茶〇が松は、極小集落なので、隣の梅〇と合同ってことで。
男女10人ずつだが、
周りを見回すと、平均年齢が高いのは一目瞭然。
ワタシよりぐっと年配のお姉さま方、
「座れもしない年寄りを担ぎ出して!」
「他の地区から、老人会かといわれるよ!」
「帰っていいかい」
「今年だけだからね!」なんて、
初めはぶつぶつしぶしぶ。
尻込みなさっていたが、
いざ、競技が始まると、
こうして、ああしてと積極的な格好と指南の数々。
さすが~
そして、
あっちに勝った、こっちに負けたと、
自分たちの玉の数に一喜一憂。
歴史の重みと団結を感じますなあ~


しかしながら、
やはり、下位に終わったのは言うまでもない。




             村内の一番端っこの、
             そこだけポツンと取り残されたような、
             静かな、ただただ静かな最少人口集落に住むワタシ。
             高山村の賑わいに戸惑いつつも、
             爽やかな秋晴れのこの日、
             何十年ぶりかの運動会は、気持ちのよいものだった。

             ついに、
             ワタシも村民と相成った!?

取りあえず・・・・

2011-10-08 17:08:04 | 山の暮らし

         見えなくても あるんだよ
         臭わなくても あるんだよ
         触れなくても あるんだよ
         聞こえなくても あるんだよ
         やっぱり あるんだ

         やっかいなもの
        


大ショックは尾を引いている。

どうも、
ココは、いいとはいえない状況。
朝夕のいつもの散歩コース、ウチから1km先の場所、
7日発表された群馬県内149地点の中でも、
沼田の21世紀の森に次いで高い数値。
森林は放射線を取りこみやすいようだ。
もしかしたら、ココはもっと!?
ウチは森林の中にあるようなものだもの。


取りあえず、
今までやっていた朝の散歩は止めた。
夕方のメグの散歩は仕方がないなぁ。





そして、
ウチに居ても気が滅入るので、
取りあえず、
今日は、ラフターヨガ教室とやらに行ってきた。
笑いは、副交感神経を高め、
リラックスを促し、
免疫力向上に役立つと証明されているらしい。

普段、
腹式呼吸を使って大声で笑う事は少ないが、
作り笑いでも、脳は幸せだと感じるらしい。
確かに、
30分ほどおおげさに笑ったら、
体がぽかぽかしてきた。


一人で、
どんなに大きな声で、体をよじって笑い転げても、
誰にも聞こえやしないし、見られはしないココだから、
取りあえず、
1日、5分でもやってもみよう。
消極的な対処法だけど。









                     ああ、
                     そいうえば、
                     この我が家の葡萄も、そして、カボチャも食べちゃったわぁ。
                     ブルーベリーもつまんだし。

                     いやいや、
                     笑いで
                     吹き飛ばせー。。




大ショック!!

2011-10-05 09:31:07 | 山の暮らし




あ~あ あ~あ~

各種の情報で、群馬の放射線量も危ないとは聞いていたものの・・・・


先月27日に発表された航空機によるモニタリング測定結果は、
思っていた以上のもので、かなりショックを受けた。


TVや新聞によると、
福島第一原発からの放射能が、栃木の山間部を経て、
群馬にも到達していたとのことだった。
特に、北部には線量の高い地域があったと。
ああやっぱりね。

えっ!北部といったら、ココもじゃない!?

県のHPで詳細を見て、
なお、びっくり。

前橋、高崎などの都市部より、
この高山村は高く、
それも、
なんと、
渋川との境付近のワタシの居住集落あたりは、
そこだけ、ぽっつり周りと違う色
まさしくホットスポット
沼田、川場村や桐生、みどり市の地点と同じ、
一時間当たり0.5~1.0?1.0~1.9マイクロシーベルトの緑色地帯ではないか
これは、チェルノブイリで汚染地域とされている数値に値するそうな。
セシウム134、セシウム137の地表面の沈着量も
当然ながら高い数値。
真っ青地帯にすっぽり入っている。
あらあら
あの頃(8月、9月)、地面に這いつくばって、長時間よく草むしりもしたワ。

この衝撃の事実に言葉がない。



美しく静かなこの地を終の棲家と選んだワタシ。
もう、引越しできないよォ~

どうしてくれるぅ~


人には言うに及ばず。
この森や川、地や花が穢されしこと、辛く、腹立たしい。








                       取りあえず、
                       身も心も冷たくなったワタシを
                       今冬初点火で温めなきゃ。。