草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

Happy Birthday!

2012-01-31 20:33:36 | 山の暮らし
   ひとすじの光のさした大地の心に
   ひとはひとりで立っているのだ
          ___S・クワジーモド___





人は皆、光の中に生まれ
人は皆、光の中に生きる
一人ひとりが、自分自身の光の中に

娘から贈られた辻井伸行さんのCDを聴いていて、
ふと、そう思った。

昨年、妹からの辻井さんのコンサートプレゼントは、
あの震災で、惜しくも中止になってしまったけれど。

ベートーヴェンのピアノソナタ17番。
ベートーヴェンが聴覚を失いつつあった、苦難の時期に書き上げた「テンペスト」。
まさに、一筋の光の中にいるような辻井さんの2楽章。







                   

               それにしても・・・・
               さすがに、今年のこのケーキは一人じゃ食べられないかな。
               さっき、
               例のごとく、超豪華なモンブラン2種類を食べちゃったからね。

冬遠出

2012-01-29 20:31:43 | おでかけ



雪が心配だった。
途中、ちらちらしたものの、
鉛色にけぶるアルプスの連山を左右に眺めながら、
無事、往復800km、10時間のドライブ。



最終日となった、ゆずりはの東京展も気持ち引っ張られたが、
両方というのは無理なので、
今回は、
光原社が出展するという、岐阜多治見の百草のほうへ。


楽しみにしていた東北の手仕事、工芸の展示。
じっくり2時間かけて見て回った。
漆、曲げわっぱ、ホームスパン、裂織、自然素材の籠類、鉄器と、
どれも、厳しい東北の冬にあって、生活に根ざした工芸の品々。

思いがけず、
舞良さんともお会いできた。
薪ストーブのある一角で、
暖められ柔らかさが一層増したかのようなアートな作品たちに囲まれ、
しばしおしゃべり。

よい一日だった。







                      どこかへ出かける
                      何かに出合う
                      出かけなくとも出合えるものはあるのだろうが
                      どこかに何かがあるような・・・・

                      そんな気がして
                      どこかへ出かける

ゆきのとき

2012-01-20 15:30:36 | 山の暮らし



昨夜からの雪が、降り続いている。


ココ高山に関しては、少ないと思っていた今冬の雪が、
今日は本格的。
もう、30cmほど積もっているだろうか。




雪が降ると、
人生が悲しくも美しいものに、
憂愁に満ちたものに思える。
と、詠ったのは、中原中也であったが、
雪の景色というものは、
ホントに不思議なこころもちにさせる。


ただただ嬉しかった子供のころ。
美しさに捕われていた若いころ。
先の見えるこの歳になって思い知るのは、
包み、消し去る甘やかな静謐。




        死は、前よりしも来らず、かねて後に迫れり。
        人皆、死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来たる。
        沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるが如し。
                ____吉田兼好『徒然草』____





ワタシの歳の半分ほどの中也には、
ひたひたと満ちてくるものが、すでに見えていたのだろうか。











                  一層静かな雪の降る日、
                  人の声が懐かしく、
                  ヘルマン・プライの優しいバリトンを聴きながら、
                  昭和11年の雪の日に、思いを巡らしてみる。



寒月

2012-01-10 04:53:13 | 山の暮らし



あまりの明るさに
外に出てみると
やはり満月か

ただ
いつものそれではなく
月の周りをオレンジがかったものが広く取り巻いている
ゆったりとはっきりと

その異様さに耐えきれず
思わず家の中に引き返した

ついさっき
ワタシを目覚めさせたざわざわした夢が
取りきれない澱となってワタシの中に残っていて
心ならずも
それを気味悪く感じさせたのか




寒月は
煌々としていなくてはならない

ワタシは
悠々としていなくてはならない


数分後にこっそりと覗いた月は
いつものそれに戻っていた






古本

2012-01-04 20:18:24 | おでかけ



今日、中之条の図書館に行ったついでに、
その町内に開店したという、古本屋に寄ってみた。

本好きのワタシ、
当然、学生時代には古本屋通いもしていたわけだが、
群馬に来てからは、軒数も少ないこともあり、遠ざかっていた。

久しぶりの古本屋は、
う~ん、ドッキドキ、ワックワク。
古書の匂いをいっぱいに吸い込み、
胸の高鳴りを抑えつつ、
狭く雑然とした店内を、
目を凝らし左から右、上から下と隈なく。


蔵書レベルは、大したことはなかったが、
それでも、
『草の葉』を見つけて、迷わず購入。
我が「草の葉」の由来が、
ホイットマンの詩集『草の葉』であるということは、
ずっと前のブログにも記したとおり。
すでに、木島始や富田砕花の訳など4冊ほどは持っているのだが、
な、なんと、
これは、有島武郎訳。
クックックッ。
〈Song of Myself〉が割愛されているのは残念ではあったが・・・・
そして、もう一冊、
手違いから手放してしまった川上澄生を。



目的を持って探すのもよいが、
思いがけずのであいが、古本屋の嬉しさである。



この小さな家に移り住むにあたって、
ワタシの持ち物で一番大量だった書籍は、、グ~ンと整理、処分。
なのに、5年経つと、また少しずつ増えている。


モノは少なく、
本は、なるべく図書館で。
それに、
これからは電子書籍なるものに変わっていこうとしているのに。


でも、
手に乗る本、特に、古本はやっぱり魅力的。
この一冊は、
いつ、どこで、どんな人たちが手にし、
どんな思いを含んで渡ってきたのだろう。
シミや汚れ、鉛筆やペンで記された線や言葉が、
実に愛おしいのだ。




             それは____
             見も知らぬその人と、
             時は違えども、
             確かに、
             どこかに同じものを見たという、深遠な歓びとでもいうか。。

希望の年でありますように

2012-01-02 05:31:59 | 雑感




                そうっとしといて あげましょう
                      そうっと そうっと
                ひびきやすい あなたのこころを
                    そうっと そうっと そうっと

                世界一やさしいヴァイオリンのような
                わずかの風にもそよいでしまう小枝のような
                谷間に棲んでるエコーのような
                夕ぐれのひとときの礼拝堂のような・・・・

                上等なパイの皮のような
                夜あけにむすんだ葉っぱの上の露のような
                きゃしゃなガラスの水差しのような
                お池にうつった幼い雲のかげのような・・・・

                そうっとしといて あげましょう
                      そうっと そうっと
                こわれやすい あなたのこころを
                    そうっと そうっと そうっと
   
                         ____新川和江「そうっと そうっと」____







纏った真新しい衣の裾から
脱ぎ捨てたはずの旧いものが
ちろちろとのぞいている

ぐつぐつぐつぐつ
ざわざわざわざわ

落ち着かないのは
ワタシのこころ

なんとか覆い隠そうと
虚空から懸命に手繰り寄せる
希望、希望、希望

ごそごそごそごそ
ざわざわざわざわ

落ち着けないのは
ワタシのこころ