草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

返信_____幸福

2016-01-31 11:53:12 | 雑感




  幸福は人格である。ひとが外套を脱ぎすてるようにいつでも気楽にほかの幸福は脱ぎ捨てることのできる者が最も幸福な人である。しかし真の幸福は、彼はこれを捨て去らないし、捨て去ることもできない。彼の幸福は彼の生命と同じように彼自身と一つのものである。この幸福をもって彼はあらゆる困難と闘うのである。幸福を武器として闘う者のみが斃れてもなお幸福である。


三木清は、『人生論ノート』で
幸福について、
人格は地の子らの最高の幸福であるというゲーテの言葉を引いて、幸福になるということは人格になるということであると云っている。

      
   
三木清の次の言葉を
あなたへの返信とします。

      機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現われる。
      鳥の歌うが如くおのずから外に現われて他の人を幸福にするものが真の幸福である。


      幸福は徳に反するものでなく、むしろ幸福そのものが徳である。
      もちろん、他人の幸福について考えねばならぬというのは正しい。
      しかし我々は我々の愛する者に対して、自分が幸福であることよりなお以上の良いことを為
      し得るであろうか。



そして、これは、
涙で霞んだ眼に
陽に照らされた雪の白さがまぶし過ぎて、
今日は一日、鈴木重子さんのCDを聴きながら過ごしているワタシ自身への言葉でもあります。
ありがとう

みち

2016-01-20 14:26:48 | 山の暮らし
遠い道でも大丈夫
一歩づつ
途中に花も咲いてるし、鳥も鳴くし
と、Tさんは言う。

でも・・・・
その道が
ワタシには見えないのだ。




                    ::::



暖冬だ、暖冬だといわれていたが、
このまま済むはずはないとは思っていた。
それにしても、ひどすぎる。

先日の雪で、ココは50cm以上積もった。
車は半分が埋まってしまい、
3時間かけて道に出られるだけの雪かきをした。
そして、
昨朝、恐る恐る運転し幹線道路に出てみたものの、1kmほどでギブアップ。
ガリガリ凍ってハンドルの取られる道は、ワタシの運転技術ではムリ。
泣きべそをかきながら、Kに助けを求め、Uターンしてもらいウチに引き返した。
それでも、
昼間の天気で硬くなった雪も少しずつは融け、
明日になれば良くなるだろうと思っていた。
なのに、
今朝起きたら、また、雪。
どんよりした空の色は、家の中まで入り込んでいて、
雪かきした道は消えてしまっていた。

100年に一度といわれた一昨年の大雪とまではいわないが、
ワタシがココにきてから、それに次ぐ雪の深さだ。

「高山は寒さは厳しいけれど、雪は大したことないのよ。
一シーズンに20cm位が2度ほどかな」
なあんて、聞く人ごとに豪語していたけれど。
もう言いはしない。




            ひとばんのうちに
            すべてのみちがきえてしまった!
            おおきなみちもちいさなみちも
            まっしろなゆきのしたに

            みぎもないひだりもない
            まえもなくうしろもない
            どんなみちしるべもちずもない
            どこまでもひろがるしろいせかい

            どこへでもゆけるそのまぶしさに
            こころはかえってたちすくむ

            おおぞらへつづくひとすじのあしあとを
            めをつむりゆめみながら

                ____谷川俊太郎「みち」____




                       ::::




先日、飯岡千江子さんの個展を見てきた。
「迷路」と題された作品の前で足が止まる。
真ん中に、眼球が一つ。



どこを歩けば、目的地にたどり着くのやら。
右へ行って、いや違うと引き返し、左に行っては、こんなはずではと引き返す。
それではとばかりに前に進んではみるが、困ったことにすぐにそこは行き止まり。
もう今更後ろには行けやしないのだけはわかっている。
そんな迷路をぐるぐると、もうどのくらいほっつき歩いたか。

もしかすると、
もともと、ゴールなどないのかもしれない。

と、思った途端、
道そのものが消えてしまっていた。
道はどこにあるのか。
ワタシの右なのか?左なのか?前なのか?後ろなのか?
目をつぶり、
見えない道を一生懸命頭の中で思い探す。
そして、
心はいつしか疲れ果ててしまう。





         時に、ごおっと風を誘い
         霏霏の雪は、
         すべての道を消してしまった。

        「いつまでも
         ここにたどり着くことはできないのだ」と、眼球が囁いた。