日本百名山 50、薬師岳(2926m)
薬師岳は北アルプスのほぼ中央にあり、
その周辺には百名山と呼ばれる山々が、うじょうじょしています。(赤丸が百名山)
「当時は立山行きの電車は千垣(ちがき)までしか通じていなかった。
千垣で一泊して、そこから和田川に沿って登ること七里、もう飛騨境に近い高原に有峰(ありみね)と呼ぶ村があった。(今は有峰湖の湖底)
昔はここが薬師岳の登山口であった。
しかし私が行った時にはすでに廃村になっていた。
村人は水力電気会社に祖先以来の地を売って、金をふところに山を下った後で、
軒が破れ柱の傾いた廃屋が点々としていた。
草むらの中に崩れた墓の並んでいるのも哀れであった。
(墓はいずれはこうした運命を辿るのでしょうが・・・。)
この有峰の高原から眺めた薬師岳の姿は、今も記憶に残っている。」
設定: カメラ:CAN、レンズ:28mm、風景:スケッチ風 高さ強調1.5倍。
「私の二度目の登山はそのダムからであった。
朝、汽車で富山について、その夕方にはもう太郎兵衛平小屋で一ぱいやっていたのだから、隔世の感があった。
小屋から薬師岳への道は、広々とした高原をいったん鞍部まで下って、
そこから森林地帯を登って行くと、
丈の低いオオシラビソと小さな池の布置のよろしい、美しい小庭園のような原に出る。
それから先は白い砂礫のザクザクした尾根で、
右手には黒部の谷を隔てて雲ノ平の大きな台地を望み、
左手には有峰のダム湖が覗かれる。・・・
頂上に近づくと、右手に大きなカールが眼下に口をあけていて、
その内壁の縞が美しい。・・・」
(新潮社刊、深田久弥著『日本百名山』より引用)
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