久しぶりにテレビねたで、BS世界のドキュメンタリー「贋(がん)作師 ベルトラッチ ~超一級のニセモノ~」("BELTRACCHI THE ART OF FORGERY" ドイツ 2014)http://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/?pid=160915です。とてもイイですが、今日の時点では再放送未定です。
美術作品は、その作品そのものの表現ではなく、作者や経歴や価値などで見られていることを、痛烈に映像化しています。美術作品に対する薄い価値観の裏付けや、新たな価値の発掘に飢えていることを、Beltracchiさんは冷静に分析しています。そして、その隙を利用できる完璧な知識と技術と自信を身につけているが素晴らしく、私にはとても爽快です。
Beltracchiさんは、美術作品に関して、「(表現手法の)アイデアだけでは、(模することができるので)超一流の画家にはなれない」と言い切っています。描かれた時代背景や作者の強い思いが描き込まれないと、ということでしょうか。作品を見る時にも、そのような思いなどの部分を感じるように、と思うのですが、そうなると戦争などの絡む暗い時代の作品は、気軽にそこらに飾るものではなくなる…気もします。
贋作は「(表現を模した作家の)サインを入れた瞬間に生まれる」と話しています。贋作をやめて番組後半では、表現を模しつつも「(元の画家の作品より)もっと良く」描いた作品に、Beltracchiさん自身のサインを入れます。この絵は(あのBeltracchiの作品として)価値が付くし、模した絵も出てくるだろう、という美術商の話しに、「好きにやったらいい」と答えます。