くらしデザインスタジオ@楽(^^)

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原子力の核を知る2

2011-06-27 | 本,TV,歌,人物など

(→”原子力の核を知る1”)の続きで、
以下、私が少しそうなのかと思い始めた、原子力というか核についてです。
言葉少ななので正確ではないですが、こんななんかなぁと。

前回と同じで、左は、
「隠される原子力 核の真実」小出裕章著 創史社 1,400円+税です。
以下で、A本と書きます。
右は、
「原子力発電がよくわかる本」榎本聰明著 オーム社 1,800円+税です。
以下で、B本と書きます。

で、原子力というか核利用の何が問題なのか...です。

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「放射線とは、X線のような電磁波や運動している粒子で、一般には物質を通過する際、その物質の原子の軌道電子をはぎ取る、すなわち電離する能力のあるものをいっています。したがって、放射線が生体に当たると、生体の重要構成成分である水などの分子を電離したりして、他の分子と反応しやすい活性化した『ラジカル』を造り、それが細胞膜やDNAを傷つけることになります」(B本)。

「細胞は自己の力で、傷を修復する能力を持っていますが、一部は修復できずに死滅します。問題は、たまに修復ミスを犯すことです。特にDNAでそれが起こると、DNAの遺伝情報に誤りを残したまま生き残るために、後に細胞の突然変異が起こったり、がんが発生したりする原因になるといわれています」(B本)。

「一般的に放射線の生体への影響は図3(略)に示すように被ばく線量に比例して障害が現れる確率が増える性質のもの(確率的影響)と、ある線量以下では障害が観測されない性質のもの(確定的影響)とに分けられます。現在なお議論のあるところは、確率的影響が、被ばく線量がごく低いところでも存在しているかどうかです」(B本)。

「放射線が分子結合を切断・破壊するという現象は、被曝線量が多いか少ないかには関係なく起こります。被曝量が多くて、細胞が死んでしまったり、組織の機能が奪われたりすれば、やけど、嘔吐、脱毛、著しい場合には死などの急性障害が現れます。こうした障害の場合には、被曝量が少なければ症状自体が出ませんし、症状が出る最低の被曝量を『しいき値』と呼びます。

 この『しいき値』以下の被曝であっても...実際に人体に悪影響となって現れることを、人類は知ることになりました。広島・長崎...両市に原爆を落とした米国は1950年に、被爆者の健康影響を調べる寿命調査(LSS)を開始し、...被爆者...を囲い込んで被曝影響の調査を...半世紀にわたって調査してきた今、50ミリシーベルトという被曝量にいたるまで、がんや白血病になる確率が高くなることが統計学的にも明らかになってきました」(A本)。

「...米国科学アカデミーの委員会は、2005年...七番目の報告を公表しました。その一番大切な結論として、以下のように書かれています。『利用できる生物学的、生物物理学的なデータを総合的に検討した結果、委員会は以下の結論に達した。被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しいき値はない。最小限の被曝であっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある。こうした仮定は、『直線、しいき値なし』モデルと呼ばれる』」(A本)。

「放射線に被曝する場合、細胞分裂が活発であるほど放射線による被害を受けやすくなります。そのため、生命活動の活発な子どもほど放射線感受性が高くなります。...20歳代、30歳代の大人に比べれば、赤ん坊の放射線感受性は4倍も高いし、逆に50歳以上の大人は、一桁も低くなります。そして何よりも、子どもたちには原子力を選択した責任がありません...」(A本)。

「...放射線を出す物質、放射性物質...は容易に消滅させることはできませんが、放射線は比較的簡単に消滅させることができます。放射線は、いろいろな物質の原子と衝突したり、原子の電子をはぎ取ったりして、自分自身のエネルギーをしだいに失い、持っていたエネルギーはふつうの熱に変わります」(B本)。

「...原子炉の核分裂を停止させても図(省略)に示したような時間の関数で、熱は(7%から)徐々に減衰しながら放出されるのです。...すなわち、原子炉の核分裂を止めても、熱は止められないのです。...原子炉の安全性のほとんどは、このような原子炉の停止後に出てくる熱との戦いといって過言ではないのです。...この熱を取り除かない限り、やがて原子炉は過熱します。」(B本)。

「放射性物質があちこち動き回らなければ、放射線が飛んでくる方向は限定されるので、放射性物質を包み込むように何か物質を置いて、それを遮ることができます。...原子力利用の安全性は、放射性物質を封じ込め、動かないようにすることが出発点です」(B本)。

「原子力発電所で発生する放射性物質のほとんどは核分裂生成物です。核分裂生成物のほとんどは、図9(略)に示すようなペレットの中にとどまります。...ペレットは第1のバリア(核分裂生成物が動けないようにする防壁)です。しかし、一部の核分裂生成物は、...ペレットの表面から外へ飛び出し...ペレットの中から、じわじわとしみ出してきます。これを封じ込めるのが、燃料被覆管と呼ばれる金属管で...これが第2のバリアです。

 このバリアが破られると、放射性物質は原子炉の中を通る冷却材(燃料から熱を運び去る水)に出てきます。...この冷却材が封じ込められるところが第3のバリアで、一次圧力バウンダリといわれています。...一次圧力バウンダリの圧力が高くなりすぎると、中の冷却材を一部捨てたくなることがあります。...捨てる冷却材を封じ込める装置が必要になってきます。これが原子炉格納容器で、第4のバリアということになります。

 原子炉格納容器はいろいろなパイプやケーブルが貫通しています。貫通部からは、放射性物質などが漏れないよう工夫されていますが、絶対ということはないので、原子炉建屋という気密性の高い建物で全体が包まれています。これが第5のバリアです」(B本)。

「...安全評価においては、そのバリアの機能を損なうおそれのある事象(例えば設計基準事象)を想定して、その事象の程度に応じて、特定のバリアを防護する必要のある...。これはバリアのほかにバリアを守る設備が必要になることを意味します。...バリアを守るものは、その機能別に、原則として二重にすることが要求されます」(B本)。

「安全評価のための個々の事象...を設計基準事象といってます。...設計基準事象を決めて、それによる影響が、許容される限度内に収まることを確認する安全評価のやり方を『決定論的安全評価法』といっています。現在世の中で利用に供されている多くのシステムは便益とコスト(負の影響)のバランスで成り立っています。それによって、経済性を図りながら、全体のリスクが小さく抑えられているのです。『決定論的安全評価法』は、このような考え方を基礎にしながら、原子力発電所の安全設計に見通しのよい、具体的な方針を与えることを目標にしています」(B本)。

「...米国では、初の原子力発電所の稼働を前にして、原子力発電所の大事故がどのような災害を引き起こすか、原子力委員会(AEC)が詳細な検討を行いました。...『 (略) 』(WASH-740)として、1957年3月に公表されました。この研究では、熱出力50万キロワット(電気出力では約17万キロワット)の原子力発電所が対象にされ、その結論には以下のように記されています。

 『最悪の場合、3400人の死者、4万3000人の障害者が生まれる』『15マイル(24キロメートル)離れた地点で死者が生じうるし、45マイル(72キロメートル)離れた地点でも放射線障害が生じる』『核分裂生成物による土地の汚染は、最大で70億ドルの財産損害を生じる』70億ドルを当時の為替レート(略)で換算すれば、2兆5000億円です。その年の日本の一般会計歳出合計額は1兆2000億円でしかありませんから、原子力発電所の事故が破局的か理解できます。」(A本)。

「当然、個々の電気事業者がこのような損害を補償できる道理もなく、米国議会では直ちに原子力発電所大事故の損害賠償制度が審議され、九月にはプライス・アンダーソン法が成立...」(A本)。

「日本でも、日本原子力産業会議が科学技術庁の委託を受け、...日本で原子力発電所の大事故が起きた場合の損害評価の試算を行いました。その結果は、1960年に『大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害に関する試算』としてまとめられましたが、その結果がWASH-740と同様に破局的なものであったため秘密扱いとされてしまいました。

 それでも、電力会社を原子力開発に引き込むためには、どうしても法的な保護を与えねばならず、大事故時には国家が援助する旨の原子力損害賠償法を1961年に制定したのでした」(A本)。

「...今日では標準となった100万キロワットの原子力発電所の場合、1年間の運転で約1000キロ、広島原爆に比べて1000倍を超えるウランを燃やし...、燃えた分だけの死の灰ができます」(A本)。

「...1986年4月26日、...チェルノブイリ四号炉は、出力100万キロワットで...、ほぼ丸2年間運転し、炉心に広島原爆2600発分の死の灰を抱えた状態で事故が発生しました。主要な放射線核種であるセシウム137を尺度にして測ると、その事故では炉心に蓄積していた3~4割、...が放出されました。

 その結果、『放射線管理区域』に指定しなければならない程の汚染を受けた土地の面積は、日本の本州の6割に相当する14万5000平方キロになりました。『放射線管理区域』とは、『放射線業務従事者』が仕事上どうしても入らなければならない時だけに限って入れる場所です」(A本)。

このぐらいが分かって、福島などで言われていることが、
やっと少し見えてきます...。

その他の施設と廃棄物と、なぜやるかなどは、
次回の、(→”原子力の核を知る3”)です。