QRコードをスマートフォンで読み取ると簡単に交流サイト(SNS)に登録できる仕組みを悪用し、LINEの不正アカウントに誘導するQRコードを印刷した偽チラシを配り、現金を振り込ませる新手の詐欺が発覚した。
不正なウェブサイトなどにつながるQRコードが、企業のダイレクトメールや大学の冊子に記載されていたことも判明した。
米セキュリティー企業、パロアルトネットワークスの林氏は「QRコードは点の集合体なので、一目で『怪しい』と見破るすべはない。 送金を求められたら本当かどうか用心してほしい」と話す。
2022年10月、愛知県石倉市の集合住宅の郵便受けに「家賃に関する重要なお知らせ」と書かれたチラシが投げ込まれた。
愛知県警江南署への取材によると、チラシには「家賃の支払いをオンライン化することに決定しました」との文言とQRコードが記載されていた。
スマホでQRコードを読み取ると、家賃支払いの用途を装った不正なLINEアカウントに誘導され、入金を指示された。
住人のI入は2ヵ月分の家賃として10万6千円を振り込んだ。
翌月に管理会社から「家賃が振り込まれていない」と連絡を受け、初めてだまされたと気付いたという。
江南署は2024年1月、詐欺の疑いで埼玉県狭山市の自称インフルエンサーの男を逮捕した。
男はチラシを作成し、愛知県安城市の派遺業の男(詐欺容疑で逮捕)と共謀。
SNSで雇ったアルバイトを使い、約400枚を配布した疑いがある。
一方、カー用品店チェーンのオートバックスセブンは2023年11月、ダイレクトメールのQRコードにアクセスすると、カード情報を窃取される不正サイトが表示されたと発表した。
社内のデザイナーがインターネットに無料公開されている「URL短縮サービス」を使い、QRコードを作成。URL短縮サービスの運営会社は短縮URLを無料で提供する代わりに、正規サイトの表示前に広告サイトを表示していたが、何者かが広告料を払って不正サイトを表示させていた。