マレーシアのマハティール首相が6月26日、TPPの再検討に言及したことで、TPPのけん引役である日本政府は新たな対応を迫られる可能性がある。
同氏は「(自国に)有益かどうか分析したい」と主張。
日本は参加国拡大を進め、離脱した米国の復帰につなげたい考えだっただけに、冷や水を浴びせられた格好だ。
TPPは3月、日本など11力国が署名。
早期発効を目指して各国が国内手続を進める。
5月には、新たにタイがTPPへの参加意欲を日本側に万した。
タイの参加が実現すれば11力国以外の国では初。
参加国拡大に弾みがつくことから、日本政府内では「米国に良い影響を与えると期待している」との声が出ていた。
日本政府関係者は「マレーシアの発効手続きが滞れば、アジア太平洋地域での自由貿易体制強化にブレーキがかかりかねない」と懸念する。
ベトナムやシンガポールなどTPPに積極姿勢をとる国との温度差により、東南アジア諸国連合(ASEAN)の足並みが乱れる恐れもある。
マハティール氏は会見で「われわれは日本に輸出できないが、日本はマレーシアに車を輸出できる」と述べ、不平等な貿易体制を是正する必要があると強調。
「ゴルフにはハンディキャップ(の仕組み)がある」として、TPPがマレーシアなど途上国「保護を与えるかどうかを注視する」と指摘した。
一方でこうした発言も長年の持論やその延長であることから、冷静に受け止める向きもある。
別の日本政府関係者は「マハティール氏の意図を見極める必要がある」と述べた。