東京電力は1月25日、福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)について、目標としていた2023年度中の採取開始を断念すると発表した。
予定していた工法の適用が当面は困難と判断し、工法を変えて今年10月までの開始を新たな目標とする。
処理水は、2024年度に計約5万4600トンを7回に分けて海洋放出する計画も示した。
2号機で最初に計画されているデブリ取り出しは、第1原発廃炉の最難関とされる。
昨年8月、漁業者が反対する中で処理水放出に踏み切ったものの、事故から13年を前にしてもデブリの採取開始に至らず、2041~2051年を目標とする廃炉完了に向けた道筋を示すことができない状況だ。
デブリ採取の延期は3回目。
当初計画した原子炉格納容器側面の貫通部からロボットアームを差し込む工法は、貫通部をふさぐ大量の堆積物が妨げとなるため、アームよりも細い伸縮式のパイプでより確実にデブリを採取する。
工法変更に伴い、原子刀規制委員会の審査が必要になる。
東電は最長約22メートルに伸びるアームで、ごく少量のデブリを採取しようと計画、堆積物の除去を進めていた。
アームは精度を高めるための試験を続け、今後の調査や採取で使用する。
記者会見した東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野最高責任者は「非常に狭く高線量下の作業で、安全に進めるためにも工程変更は必要だ」と説明する一方「いろいろな作業がこれだけ時間がかかるという見積もりが甘かった」と述べた。
2024年度の処理水放出計画では、2023年度と同様に1回当たり約7800トンを海に流す。
敷地内に保管中の処理水がタンク14基分減る見込み。
処理水に含まれる放射性物質トリチウムの総量は、年間上限とする22兆ベクトルを下回る約14兆ベクトルを見込むとした。
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