古いお寺なんかだと
「古(いにしえ)より代々伝わるありがたーいお宝を年に1回だけご開帳」
なんてイベントがあるが、コーヂの頭の中にもそういうお宝(?)がある。でもってこの日は年に1回のご開帳なのである。
ただ、僕の頭に扉とかフタが付いておれば、頭をパカンと割って
「これがお宝でR。ありがたーく見てたもれー」
なんて言って、お宝に驚くよりそっちでウケそうなものだが、あいにく僕はアンドロイドでもなければターミネーターでもないので、そんな特殊技能は持ち合わせていない。ここはやっぱり医療技術で頭内を拝見せねばならないのね。
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昨年も行った
MRI を今年も同じ病院で受けてきた。
いつものようにベルトやメガネ、携帯や時計などを外して検査室に入ると、あの大仰なMRIの機械が鎮座している。最初はその無機質なたたずまいから随分ビビらされたものだが、今回で4回目ともなると
「もうあんたなんかこわくないんだからね。ふーんだ」
などと強がってつぶやいたりできる余裕も出てきた。
いつものように耳栓をして寝台に横になり、にゅいーん、と機械の測定部に頭が突っ込まれ、検査スタート。
こっ、こっ。ことんことん。でーでーでーでーでーでー。
この独特な大きな音も慣れてしまって、つい3回程、うとうとと居眠りまでしてしまった。
普段、夜の寝つきは大変悪いコーヂなのだが、なんちゅうかこう、車や電車の騒音の中でうとうとすることってあるでしょ。まるで催眠術のように心地よくなっちゃう感覚。あれですよあれ。
ただ検査医から
「音が鳴っている時は動かないでくださいね」
と言われていたのに、居眠りからはっと覚めると、口がぽかんと開いていて
「しまったーッ。これではポカン口の間抜け面で、3方向(正面・横・上)から顔面のスライス状断面図が取られてしまったではないか。ううう。」
と少々落ち込む。
で、肝心の頭内にあるお宝に関する画像診断の結果は
「昨年と部位・大きさ・状態とも変化は見られないので、また来年撮って経過を見ましょう」
とのことだった。そーか、成長なしか。
せっかく頭のMRI画像があるので、ついでに片頭痛のことも聞いてみる。
「あのー、先生。ここんとこ閃輝暗点がひどくて、5月だけでも15,21,23,24,27,31と来ていて、頭痛がある時とない時とあるんですが、脳血管はどうなってます?」
「あら。それは撮る前に言わないと。血管撮影はまた撮り方が違うから」
「あちゃ・・・、そーなんですかー。むむむ。じゃ、ま、いいです。」
がーん、そうだったのか。
しかしこの期に及んでは今更どーにもならない。MRI検査は予約が必要なので、どのみち今日の今日はもう撮れない。今予約してもその検査日アタリに閃輝暗点症状が出ているとは限らないしなぁ。
それに6月になったとたん閃輝暗点はナリを潜めている(何とはなしに頭痛はあるけど季節的なもののような気がする)ので、また症状が出た頃にやるしかあるまい。
そんなワケで、何がわかって何がわからないのかの変化がないまま今年のご開帳は滞りなく終了したのであった。