対局日誌

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形勢判断裏技

2005-08-26 02:39:00 | 雑談
以前、「驚くような簡単な方法はない」と書いた。
さらに前回書いたように、かくも形勢判断とは難しく妖しいものだが、それでも棋書を読み漁っているうちにいくつかの裏技を発見したので報告する。
1番目と3番目の方法に関しては「最低限の目算は必要」なのは変わらないし、もちろん精度が低いので「半目勝ちですね」など望むべくもないが。

<1. >
碁は大局観」(日本棋院:大竹英雄:大竹英雄囲碁直伝シリーズ)より。
すなわち序盤の一手一手はよほど変な手を打たない限り10手の価値があり、それを目安に布石の成功度を計ろうというもの。
例えば、ある部分で石数が一手多いのに、多いほうがその部分で10目リードしていなければ、その布石は失敗ということである。
注意して頂きたいのは、ここでいう10目とは「地の目数」だけでなく、厚みや発展性をも加味したものだということ。

詳しくは前述の本を読んでいただきたいが、適切かどうか自信ないながら自分なりに例を作ってみた。
図はオーソドックスな三連星からの展開。
右辺に注目してみよう。
白は右上と左下にに7目ぐらい。
対して黒は石が3つ多いので44目程度右辺に地を見込めないといけない。
仮にAあたりのラインで囲ってみると黒地45目。
話はあっている。

ちなみに右辺の白地二連星は20目、次にBと打てば三連星で30目である。
しかし黒がAのあたりに地を広げるのは10目以上ありそうなので、消すのが相場だろうけど。
中国流も30目、星と小ケイマジマリの組み合わせも30目の価値がある。
面白いのは全然別の本、「私の形勢判断」(誠文堂新光社:李昌鎬)、「ひと目形勢判断法」(講談社:趙治勲)でも三連星や中国流は別の算出法で30目と考えていること。
序盤に限って言えばプロの共通認識であり、中々有効な形勢判断法なのかもしれない。

<2. >
武宮プロがこの考え方のようである。
もっとも「武宮の形勢判断」(武宮正樹:MYCOM)はまだ読んでいないので、違っていたらすみません。
これで思い出すのは月刊「囲碁」に掲載されたアマプロ戦で、二子置かせた武宮先生が作り碁まで打ってみると十数目負けていた話。
「あれ?こんなに違いましたか」とは武宮プロ。
序盤で少しずつ得をしたのを過大評価していたらしい。
悪手をきちんと見分けられるか、悪手の価値をどう判断するかで大きく誤差が出るのであまり信頼の置ける方法ではないが、武宮プロらしい大らかな方法で私は好きだ。

<3. >
「高川秀格全集」(誠文堂新光社:高川秀格)を読んでいたら「60目を目安に碁を打っているというユニークなプロがいる」というのに出くわした。
なんというプロだったかは失念。
私が名前を知っているプロ(昭和初めの頃の方なので)ではなかったが、この考え方は面白いと思う。
上手な初心者」(日本棋院:小阪秀二)にも形勢判断の話ではないけれど、
「作り碁の手数は大体200手ぐらい。
 それが全部生きたとして361-200=161目の地が考えられる。
 161を2で割ると80目。
 つまり80目ちょっとあるならば、その碁は負けないでしょう」
というような記述があった。
プロはもっと地が細分化されるだろうし、アゲハマの関係もあるからから60目ということなのだろうが、自分の分だけ考えれば良いから目算が少し楽。
個人的には私レベルだと確かに80目確保できれば、その碁は負けない気がする。
相当難しいですけどね。
上記二つに比べて「私の考え」が入っているのが眉唾ではあるけれど、面白いと思われたら試してみては?

人間とはモノグサなものですね。

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