対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

囲碁界ちょっといい話

2006-05-29 02:30:44 | 雑談
勿論私は碁界関係者ではないので、本の受け売り。
今は絶版と思われるが、趙治勲プロの処女作「命がけで打つ」(実業之日本社)より抜粋。


 私が服装に気を使わなかった、もっと大きな理由は、たびたび書きますように、やはり自分が一人前の棋士であると思えなかったからです。
半人前の棋士が一人前の服装をするのは生意気だと考えたからです。
一人前の棋士であると自他ともに許されるようになってから一人前の服装をすればよい。
私はそう決めていました

(中略)

 昨年の夏のことです。
あるホテルで、アマチェアを主体にした宴会があって、棋士も何人か出席しました。
私は棋士グループの席に、坂田先生と向かいあって坐りました。
坂田先生は前日から泊まっていて浴衣姿、私は投宿したばかりで、例によってポロシャツ姿。
アマチェアの人たちは、ワイシャツ姿が三割、浴衣が二割ぐらい。
半数ちかくは、ちゃんと上着を着ていました。
少しお酒が入ったところで、坂田先生は私をシゲシゲと眺めながら、こんなふうに言いました。
「趙君、このごろ君の服装について、あっちこっちから、いろいろクレームが来るんだよ。
服装なんてどうでもいいみたいなもんだが、そうでもない。
君も、そろそろ背広で対局したほうがいいよ」
 こちらも、いささかメートルがあがっています。
私は内心、「なんだ、また、そんなことか」と思いました。
そして、一本とるつもりで、坂田先生にやりかえしました。
「先生、それはないですよ。
ぼくにお説教するんなら、先生からチャンとしなきゃ。
アマチェアの人たちが、けっこう上着を着ているのに、先生は浴衣じゃないですか」
 坂田先生、ごぞんじのカン高い声で、ひとしきり、にぎやかに笑いました。
テレかくしだったのかもしれません。
笑いおわると、まじめな顔にかえって、さっと席をたちました。
数分後に、先生は背広にネクタイまでキチンとしめて、席に戻りました。
 これには、負けました。

(後略)

 私は、坂田先生のいさぎよさを見習うことにしました…


坂田先生、格好イイ!

その緩から急への見事な所作が、坂田先生の碁における華麗なフリカワリを彷彿とさせます。
またそれに感じ入って考えを改めた、趙先生も偉い。

本書ではそれ以外にも、趙先生の名人獲得直後の素直な心境が、赤裸々に語られており、趙先生を好きになりました。
趙先生らしい、ちょっと際どそうな話も。
手に入りにくいでしょうが図書館などにあったら、一読する価値はあると思います。


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