「羽根直樹の碁」(MYCOM:羽根直樹著)
世界一わかりやすい打碁シリーズ第1弾。
構成は朴道純。
刊行時のレビューはコチラ。
第1局 vs高尾紳路プロ(本因坊戦) 135手完(49譜/参考図47)
第2局 vs張栩プロ(棋聖戦) 108手完(38譜/参考図38)
第3局 vs井山裕太プロ(天元戦) 112手完(35譜/参考図33)
第4局 vs王銘琬(メイエン)プロ(本因坊戦) 129手完(41譜/参考図39)
第5局 vs三村智保プロ(棋聖戦) 161手完(53譜/参考図51)
第6局 vs張栩プロ(本因坊戦) 132手完(45譜/参考図47)
第7局 vs井山裕太プロ(本因坊戦) 181手完(56譜/参考図54)
第8局 vs高尾紳路プロ(本因坊戦) 276手完(72譜/参考図58)
1譜辺り、最大でも5手程度しかすすめず、
世界一「並べやすい」ことは間違いない。
ただシリーズ名の通り世界一「わかりやすい」かは疑問で、
正直、私にはわかりにくかった。
というのも1ページあたり2図掲載で、
上段に実戦図、下段に参考図というのが基本構成になのだが、
参考図が1つしかないので枝分かれするような多様な疑問には、
ほとんど答えて貰えないからだ。
譜分けの手数の都合上、
それほど参考図を必要としないと感じる箇所にも、
個人的にやや「どうでもいい」と感じる
参考図が入っていたりもする。
また解説も昨今のテレビでよくある、
「難しい話をわかりやすく、噛み砕いて説明する」
のではなく
「難しい箇所は『触れない』」
といったスタンスなので消化不良。
唯一作り碁になっている、第8局にしても、
折角、終盤を細かく譜わけしているのに、
ヨセの大小などの話もあまりなく、
本因坊戦全体の感想でお茶を濁していてガッカリだった。
収録局に関しては第1・8局は本因坊獲得・防衛の一局なので
まぁ問題ないとして、第2局から第7局は、
「一流棋士との対局」から「短い手数で勝ったもの」を
セレクトしている感じで悪印象。
特に第2局、第3局は相手の一手バッタリで勝負が決まっており、
張プロ、井山プロの拙局に思う。
掲載局が「模範局」といえないのもどうかと。
ただしこれらの問題点は、以降刊行された、
結城プロ、謝プロ、山田規三生プロの本では
1譜辺りの手数を少し多くしたり、重要対局を増やすなど、
改善されているところもあるようだ。