対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

『迷走』 碁打ち・藤沢秀行という生き方」

2009-12-14 21:21:21 | 雑談
昨日13日に放送された、
『迷走』 碁打ち・藤沢秀行という生き方」の冒頭。

秀行先生のお別れ会に出席した25世本因坊治勲が、
老いた24世本因坊栄寿のネクタイを直しながら、こう呟く。
「このままとキュッやったら、死んじゃうね」

…な、何てこというんですが、治勲先生!(滝汗)

意外や治勲先生の登場は確かこれだけだったのだが、
番組全体を象徴するかのような、強烈なシーンだった。

本番組は秀行先生のドキュメンタリー映画を撮ろうとして果たせなかった、
相米慎二監督(2001年没)の秘蔵映像をベースに、
既に放送された「かあちゃんは好敵手」、7月の追悼番組の映像も絡め、
「碁打ち 藤沢秀行」の破天荒な生き様を追うというもの。

秘蔵映像の量はそれほど多くないので、
追悼番組で見た映像とダブり気味な印象があるのは否めないが、
切り口は随分違う。

7月の追悼番組はその通り秀行先生を悼み、
奥様も含めて美しくもユーモラス、そして偉大に描かれていたが、
昨日の番組はそうした綺麗なところだけを描こうとせず、
狂気や弱さ、汚らしさ(といっても限界はあるが)、
そしてその碁の凄み、
全部をひっくるめて「碁打ち秀行」の実体に迫る。
そんな内容だった。

「私を含めた」無責任なファン(ファンとはそういうものだ)は、
秀行先生を珍獣でもみるかのようにただ面白がっているだけだが、
その裏にはご家族の大変な苦労があったという。
「父親(秀行先生)が帰ってくると布団に包まり、
耳を塞いで部屋に隠れた」
「出来れば(他の愛人宅にいって)家に帰ってきて欲しくなった」
「××したいと考えたこともある」
などというのは、世間でみれば珍しくはないのかもしれないが、
やはり尋常ではない。

こんな話を聞くと単純に面白がってはいられない。
やはり亡くなったからこそ話せた、
碁界の外の人だから描ける。
そこにこの番組の価値があったと思う。
想像以上に盛り沢山で、慄然とする内容に目が離せなかった。
尚、「かあちゃんは好敵手」は未見なので、
上記の内容がそちらで触れられていたかどうかは知りません。

その碁の魅力についての解説も意外に充実しており、
第2期名人戦や、第2期・第56期棋聖戦などから、
特徴的な碁・局面を題材に
武宮プロ・林海峯プロなどが分かりやすく解説している。

碁を知らなくても興味深い内容だと思うが、
やはり碁を知っていたほうが面白く、
囲碁ファンならば必見だ。