東アジア歴史文化研究会

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渡邉哲也氏講演「安倍ドクトリンと外交戦略-国益にかなえば経済はもっとすごくなる」

2013-07-04 | 研究会の案内
日本よ、「アベドクトリン」によりアジアのリーダーを目指せ
渡邊哲也氏講演(2013.6.28新宿常円寺)

Cimg4050_2安倍政権は安倍総理の提示した大きな政策目標である「アベドクトリン」を実施している。実は大きな話題となったアベノミクスとは、アベドクトリンの経済政策であり、全体の政策目標の一部でしかない。では、アベドクトリンとは何かということになるが、その最大の目標は安倍総理が第1次安倍政権から掲げてきた「戦後レジームからの脱却」であり、自発的で強い日本をつくるということになるのだろう。そして、安倍総理は外交においては、麻生副総理ともに二人三脚外交を行なっており、価値観外交を進めているわけである。

現在の安倍政権を考える上で、大きなキーワードとなるのが「価値観外交」である。では、安倍総理の唱える価値観というのはどのようなものなのか考えてみたい。この言葉における価値とは「普遍的価値(自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)に基づく」ものとなり、その価値観を共有できる国と日本は積極的に協調し連携関係を強め、大きな共同体をつくっていこうという構想である。もともと、このような構想は米国の新保守主義の立場の方々が唱えていたものである。そして、日本においては安倍総理、麻生副総理もこれに強く共鳴し、第1次安倍政権の際に当時の麻生外務大臣によって出された日本の外交の大きな基本方針「自由と繁栄の弧」に反映された。そして、それはさらに枠組みを拡大させた「平和と自由の回廊」となっていった。

アジアのリーダーたる国は1つ

では、この自由と繁栄の弧というのは、具体的にどのような意味を持ち、どこのような国々を指すのであるか考えてみたい。自由と繁栄の弧における「弧」とは、弓を意味する言葉であり、アジアの海の道であるシーレーンの国々を表す言葉となる。具体的に言えば 日本に始まり、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、インドなど石油や資源を運ぶシーレーン上の国々を結ぶと、ちょうど弓のような形となるので名付けられたと言われている。そして、平和と自由の回廊とは自由と繁栄の弧に加え、中央アジアや中東、アフリカなどの国々を加えたものとなる。自由と繁栄の弧、そして平和と自由の回廊とは、自由や人権、平和とは対極的な異なる価値観が動いている中国包囲網と言い換えられなくもない。

アジアのリーダーは1つでいい。近代に入り、世界支配の枠組みは、日米欧の3つの極で動いてきた。第1次世界大戦、第2次世界大戦、そして、その後においても、日本は間違いなく、アジアのリーダーであり、先進国であったといえる。しかし、ここ数年、経済発展を続ける中国の権力拡大は著しく、この体制に大きな変化が訪れつつある。そのような前提の上で、日本はどのように動くべきなのかどのような外交を進めるべきなのかという設問への回答が価値観外交であるといえよう。

アジアにおいて、現在の中国の体制を快く思っている国は少ない。さらにいえば、中国と国境を面する国で中国との間で資源や領土に関わる問題を抱えていない国は皆無に等しい。また、中国の政治体制は共産主義を標榜した事実上の独裁体制であり、一部の人たちが富と権力を思いのままにする自由のない体制であるといえる。このような体制の国がアジアのリーダーとして、アジアを支配したらどうなるのか、これに対抗できる基軸としては日本しかないといえよう。

アフリカへの中国進出を見てもよくわかるが、中国の支配とは、その背景に軍事や武力を備えたものであり、その進出国からの資源搾取を前提としたものとなる。資源とのバーターで資本投下をするとともに、民兵を投入し、そこで出た資源を母国に持ち帰る。場合によっては、これが武器バーターで成り立っている国まであるのである。このような国がアジアのリーダーになってよいのだろうか? 私は絶対的に反対である。

日本を含めアジアの国々の人に「おめでとうございます。明日からあなたは中国人になれます」と言って喜ぶ人はいるのだろうか? よほどの物好きでない限り、これを強く拒絶するだろう。思想や言論の自由、財産権、法の支配が守られていない国の国民になりたいなどという人などいないのである。では、今の日本はどうなのかという話となる。他国の人たちが日本人になりたいと思うような国家の建設が重要であり、他国に尊敬されるような国になるというのが安倍総理の唱えてきた「美しい国 日本」の本質であると思われる。

そのうえで、価値観外交とは、相手国政府の自治権や自由を最大限認めた上で、日本の価値観を輸出する外交であり、協調体制、協力体制のもとで共に発展してゆこうという外交となる。日本がリーダシップを発揮し、世界の後進国や発展途上国などに積極的に資本を投下し、発展の礎を作るとともに、その価値観を共有しようという非常に大きな政策方針といえる。

再起動を始めた価値観外交

民主党政権での3年間、日本の外交方針である価値観外交は完全に停止し、鳩山政権が掲げた友愛の海というアジア(中国韓国重視)の政策が取られてきた。その結果は皆さんもご存知の通りであり、アジアでの中国の台頭と周辺国との対立の拡大がその答となる。さらにいえば、日本が主導してきた中東和平は停止し、中国のアフリカへの積極的進出を許す結果となってしまっている。

今回誕生した安倍政権ではこの巻き返しに必死となっている。安倍政権で行われた初めての外遊は麻生副総理のミャンマー訪問であり、これはいまだ中国の影響下にあるミャンマーを経済的に独立させる手助けをするものであった。そして、安倍総理の初めての外遊先はベトナム、タイ、インドネシアであり、ここにおいて安倍政権での外交方針であるアベドクトリンを発表した。その内容は以下のようなものとなる。

(1)自由、民主主義、基本的人権などの普遍的価値の定着及び拡大に向けて、ASEAN諸国とともに努力していく。
(2)「力」でなく「法」が支配する、自由で開かれた海洋は「公共財」であり、これをASEAN諸国とともに全力で守る。米国のアジア重視を歓迎する。
(3)さまざまな経済連携のネットワークを通じて、モノ、カネ、ヒト、サービスなど貿易及び投資の流れを一層進め、日本経済の再生につなげ、ASEAN諸国とともに繁栄する。
(4)アジアの多様な文化、伝統をともに守り、育てていく。
(5)未来を担う若い世代の交流をさらに活発に行い、相互理解を促進する。

また、ここ数年機能不全に陥っていたゴールデンウィーク外交も積極的に行われた。実はゴールデンウィークというのは外交にとって非常に大切なものなのである。日本の場合、国会開催中の外交は制限される部分が大きい。正月やお盆は相手国も休みの場合が多く、外交に大きな制限がかかる。日本だけが休暇であり外国が動いているのは年の前半においてはゴールデンウィーク以外ないのである。

安倍総理は、ロシア中東を訪問し、積極的な日本のインフラ輸出や協力体制の拡大を取り付けている。この多くは韓国に侵食されつつあった日本の利権の奪い返しであり、日本との関係強化の礎となるものとなる。そして、麻生副総理はASEANと日本の中韓抜きの独自スワップを構築し、インドとの戦略的協調体制を築き上げた。また、岸田外務大臣はパナマ、ペルー、メキシコなど南米と米国を訪問し、同様の強い経済協力体制の構築を約束したのであった。

価値観外交の話をすると、戦前の大東亜共栄圏と何が違うのかと聞かれる人がいる。そのような人には「第一に中国韓国抜きであり、第二に武力は一切使わない。第三に日本が統治するわけではなく、それぞれの国の自治権の範囲内で強調するに過ぎない」と答えている。これで多くの人たちは納得してもらえるのである。そして、最も重要なのは、誰かや外国に言われるのではなく、日本が自発的にメニューを提示していることに大きな意味があると伝えているのである。

しかし、この説明をしても納得してもらえない方がいる。それは阻害される形となる中国や韓国の人たちであり、そこに強いシンパシーを持っていたり利害関係を持つ人たちである。今、これを批判している人は、この政策によりデメリットを受ける人たちであるといえよう。それはメディアにも政治家にも経済人にもたくさんいるのである。逆に見れば、今そのような人たちが炙りだされているともいえよう。私は生暖かくそのような人を看取るつもりである。


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