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中国政府が"宗教団体"を恐れているワケ(『中国ガン』林建良 第4章 「中国ガンは退治できる」より抜粋)

2022-06-24 | 中国の歴史・中国情勢

■中国が一番恐れる団体:法輪功とは?

革命には暴力がつき物だが、このような革命の手段を使わず、中国を平和的に内部から崩壊させようとしている集団が中国にはある。それが、先に挙げた法輪功だ。中国ガン細胞に対抗するNKリンパ球の要素をほぼすべて備えていると言ってよい。

法輪功は1992年5月に李洪志氏が長春で始めたもので、当初はこの気功の学び方を公開していなかったが、それが一般公開されるやいなや、またたく間に中国国内に「学習者」が広がっていった。

当初、中国政府は法輪功を容認する姿勢をとっていたが、政府上層部が一転してこれを問題視し始めたのは、法輪功の学習者があまりにも急激に増え始めたからだ。

中国の公安部が徹底的に法輪功組織の調査に乗り出したのは1997年から98年にかけてである。そして、98年には法輪功の活動禁止措置を発令した。

そうしたなか、1999年4月18日から24日にかけ、天津のメンバーが当局に陳情したこと が「暴動」とみなされて逮捕される事件が起きた。

これを不服として翌25日、今度は中国共産党幹部が住み、政府の中枢機関が集まっている北京の中南海にある陳情窓口に2万人ものメンバーが集結して陳情に及んだ。

2万人のメンバーは静かに立っていただけだったが、中国当局は、公安にも察知されることなく、いつのまにかこれだけの人数が政府中枢機関を取り囲んだことに大きな衝撃を受けた。

そこで、全国に1億人はいるとされる法輪功メンバーへの迫害を開始した。

■法輪功が受けた徹底的な迫害

中国にはすでに法輪功を取り締まる専門の組織がある。「6・10弁公室」だ。この組織には、法律を無視してもよいという無限大の権限を与えられている。

だから法輪功のメンバーであれば、誰であろうと自由に捜査できるし、弾圧も拷問もできる。

中国政府が一団体に対してここまで対応する姿勢に、いかに法輪功を恐れているかがわかろうというものだ。だから、最も政府を転覆できる国内勢力が法輪功だと言っていいだろう。

これまでの中国人の組織で見られない法輪功の強みは、法輪功のメンバー自体が自らを宗教団体と考えていないことだ。

あくまでも気功の修行であり学習だ。中国政府としてもなかなか実態を掴みにくいようで、これまでの宗教団体とは異質の存在である。しかし、法輪功が宗教的要素を有していることは間違いない。

■なぜ中国共産党は宗教団体が怖いのか?

中国の権力者にとって、宗教勢力ほど怖いものもない。

中国史上、繰り返されてきた王朝崩壊の主な原因は、一つは農民暴動で、一つは宗教の力だったからだ。

たとえば元朝末期の紅巾の乱 (1351年)、明朝末期の白蓮教徒の乱(1612年)、そして世界史上最大の内戦と呼ばれる清朝時代の太平天国の乱(1850年〜64年)など、どれも宗教によって民衆が決起して広がった大規模な反乱である。

宗教団体は、迫害されればされるほど殉教精神が燃え上がる。

中国政府が法輪功を弾圧すればするほど結束力が強くなり、共産党政権に対する敵対心も強まっていくのは必然だった。共産党が法輪功の団結力を高めていったのだ。

(『中国ガン』林建良 第4章 「中国ガンは退治できる」より抜粋)


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