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恐るべき中国、治安維持予算が国防予算を上回った!

2012-03-08 | 中国の歴史・中国情勢

3月6日の「SANKEI EXPRESS」の記事によると、中国財政省が3月5日の全人代に提出した2012年度予算案で、国内の治安維持などに充てる「公共安全予算」は前年度実績比11.5%増の7017億6300万元(約9兆900億円)となり、今年の国防予算の6702億7400万元を上回ったという。これはいったいどういうことか!普通では絶対に有り得ないことである。チベット、新疆ウィグルなどの問題に加えて、このところインフレや物価高騰が民衆にさらなる苦痛を与え、国内に年間数十万件の暴動、騒乱、デモが起こるという。それらを力で押さえ込むための治安維持予算がこれだけ多くなったということは、いよいよ中国も複雑な国内事情を押さえ込むのに限界が近づいているということではないか。バブルがはじけ、国内経済が深刻な状況になることも予想され、今後の中国の動向から目が離せない。

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≪成長目標7.5%に引き下げ≫

中国の第11期全国人民代表大会(全人代=国会)第5回会議が3月5日、北京の人民大会堂で開幕し、温家宝首相(69)は施政方針演説にあたる政府活動報告で今年の経済成長率目標を昨年の8%から7.5%に引き下げると表明した。7%台は2004年以来8年ぶり。今年秋の最高指導部の交代を見据え、成長優先路線を修正し、国民生活と社会の安定へ軸足を移す方針を示した。

温首相は、成長率目標引き下げは経済発展の「質」に力点を置いた結果であり、「より長期にわたる高水準な発展」を導く措置であることを強調。経済成長への下振れ圧力を危惧する声に先手を打った。

さらに、物価上昇率を前年並みの約4%、都市部失業率を4.6%以内に抑え、経済成長率に合わせて国民の所得増を図ると約束。現政権の総仕上げとして「人民が満足する回答を出さなければならない」と述べた。一方で、政府は少数民族問題や抗議行動を踏まえ、治安維持に国防費を超える予算を投入。硬軟織り交ぜ、社会の安定維持に腐心している。

軍事面では「軍隊をあらゆる面で強化し、局地戦争に打ち勝つ」と宣言、国産兵器の開発を増強させる方針を強調した。

≪高度成長と決別 汚職の「副作用」反省≫

温首相が、3月5日の政府活動報告で、今年の経済成長率目標を8%から7.5%に引き下げたのは、「高度経済成長との決別を国内外に強調した結果」(北京の政治学者)だ。安定成長実現に向けた決意を次期指導部に示す狙いもみえる。

国内向けでは、一部で過熱した景気を軟着陸させることで、バブル崩壊や経済失速を避ける姿勢を打ち出すとともに、高度成長で潤った既得権益層を牽制(けんせい)する狙いがあったといえる。

08年の金融危機で失業問題を懸念した中国による総額4兆元(約52兆円)の緊急対策や利下げなど金融緩和がその後、地方でのインフラ案件乱立、不動産バブルや物価高騰、汚職の深刻化という“副作用”を引き起こした。政府活動報告で温首相は輸出中心の量的拡大策を見直し、消費拡大など質の向上を強調している。

これにより、鉄道建設などで結束した共産党の高級幹部の子弟グループ「太子党」や江沢民前国家主席(85)を中心とする「上海閥」などの既得権益の切り崩しを試みたようだ。今秋の最高指導部交代を控え、胡錦濤国家主席(69)の支持基盤である共産主義青年団(共青団)との権力闘争が激化しそうだ。

対外向けでは、成長率目標引き下げで、「新たに巨額の緊急財政出動や金融緩和策は当面行わない」との意思を示したといえる。

欧州支援として国際社会から中国に対する期待が高まっている。成長スローダウンは、「国内を犠牲に外国を助けるのか」との党内対立勢力の批判をかわす狙いもみえる。

今年の中国で、党内の権力闘争があらゆる政策決定の場面に色濃く反映されることを強く予感させる。

≪治安維持に9兆円 国防費上回る≫

中国財政省が3月5日の全人代に提出した2012年度予算案によると、国内の治安維持などに充てる「公共安全予算」は前年度実績比11.5%増の7017億6300万元(約9兆900億円)となり、今年の国防予算の6702億7400万元を上回った。2桁増は2年連続。今秋の最高指導部の交代を控え、社会の不安定に神経をとがらせている様子がうかがえる。

温首相は政府活動報告で「(治安維持を担う)武装警察部隊の現代化を全面的に推進する」と指摘したほか、「(テロや災害など)突発事件に対する緊急対策の仕組みを完備させる」と強調した。住所や財産など国民の個人情報を管理するため、全社会を網羅する情報データベースの構築も主張した。

社会管理を格段に強化する背景には、中国では官僚腐敗や公安当局者などの横暴に対する民衆の不満が高まり、専門家によると年間約20万件以上もの暴動や騒乱が発生している現状があるからだ。

チベット族やウイグル族など少数民族の分離独立の動きも顕著だ。全人代開幕直前の2月末、新疆ウイグル自治区でウイグル族とみられる武装集団が住民10人以上を殺害する事件が発生した。

こうした状況を踏まえ、温首相は治安対策と同時に「少数民族地区を発展させる措置を真摯(しんし)に実施する」と強調した。少数民族支援政策をさらに進めることで不満を抑え込む方針だ。 (SANKEI EXPRESS)

【政府活動報告骨子】
・今年の経済成長率目標7.5%
・都市部の失業率4.6%以内
・消費者物価上昇率4%以内
・経済成長率と同ペースの所得増
・個人消費を中心とした内需拡大に努力
・経済成長に下振れ圧力が存在
・土地収用、食品安全問題に国民が強い不満
・成長率引き下げは長期的な発展達成が狙い
・欧州債務危機は短期間での解決は困難

(SANKEI EXPRESSより)


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