1月中ごろでした。仕事中に1本の電話がかかってきたのです。九州・福岡から若い女性でしたが、私のブログを見て電話をかけたというのです。子供が二分脊椎症のために排泄などで困っているそうで、なんとか指圧で改善できないか、というのが相談の内容でした。
「とにかくそちらに行って話をお聞きしたい。夫婦2人で本人を連れて行きます。福岡から遠いことは承知しています。しかしこの子の未来に光をあてたいのです。指圧をしているところをビデオカメラに収め、家に帰って1つひとつ実践していきたい」。
およそこんな内容だったと思います。その熱心さにほだされました。2月15・16の両日、二分脊椎症の子供と両親が川越の治療院に来られることになったのです。
失語症でリハビリ中の私にいろいろ説明ができるか、自信がないまま当日を迎えました。
ご両親は指圧を全く知りません。経験してもらったほうが早いので、さっそくお母さんの指圧から始めました。少し緊張気味でしたが、納得していただいたと感じました。その間、お父さんは熱心にビデオカメラでその様子を撮影していました。私は、言葉が不自由ながらも、なんとか最低限の説明はできたと思います。
6歳のとても元気なしっかりした女の子、Wちゃんです。この春には小学校に入学します。家族の気持ちを考えると、何とかいい方向に向かうようにお手伝いしたいと強く思いました。Wちゃんも周囲の気持ちをしっかり受けとっていたようです。1時間ほどの指圧治療でしたが手ごたえは十分。大丈夫、きっと良くなると感じました。
今回は、1泊2日の予定です。滑り出しは順調、2日目は前日の効果がどの位かと楽しみながらの施術です。
その日は、女の子から始めました。お母さんも少し指圧に慣れてきたようなので、圧すことにチャレンジしてもらいました。排便にかかわる指圧ですから、腹部を圧せばいいと思いがちですが、腹部だけで弛ませるのは、かえって困難だと理解してもらえたと思います。指圧効果を確かなものにしたいと思い、いろいろ細かく説明しました。
3人きょうだいなので静かな時間を作らなければ、とはお母さんの言葉です。いろいろ工夫をして頑張ってください。
「毎月、来たいな」とお母さん!
これからどう変わっていくか楽しみです。1人でも多く良くなってほしいといつも願って指圧をしています。 この家族に新しい挑戦が始まりました。できるだけのお手伝いをしたいと思います。
1週間たって、Wちゃんから「ありがとう」という声を電話で聞いてなんとも言えない感動と、彼女の一途な気持ちを感じて、こういう仕事ができる基本指圧に巡り合えたことにあらためて感謝です。
さあ、本当の「母心」が始まります。ご一家に心からのエールを送ります。