― 歌・種・記・文 ― (うたたね きぶん)

日々の中で感じたことを書き留めた自分のための雑記帳。
記憶を鮮明にさせてくれる画像や思いが大事な宝物になっています。

退かれて退いた ちょこっと話

2017-10-19 | ちょこっと話


先日、電車に乗り込んだ時のことでした。 

私のすぐ後ろから 両足に障害をお持ちのおじいさん が乗っていらして 
入り口付近の手すりに摑まられました。
ドアが閉まり、電車が動き出すと 立っているのも大変そうな おじいさん。
その時 近くに、混雑に隠された 空席 があるのが目に入りました。
そこで その方の肩を 軽く叩いて
 「あそこに空いている席がありますよ!」 と声をかけました。
すると その方は とっても嬉しそうな顔をされて、
 「あー ありがとう! でも次で降りるから大丈夫です。」 とおっしゃいました。
私も軽くうなずいて 「そうですか!」 と応えました。
そんな程度のことだったのに、           
そのおじいさん、 よっぽど嬉 しかったとみえて
 「親切にしてくれてありがとうね!」 と 改めて声をかけてくださいました。
そのあとも 振り返って 何度も笑顔でお礼の言葉を言ってくださる。
  〔 役に立てたわけでもないんだから 恐縮 しちゃう! 〕 と思った私は
 「とんでもないです!」 の言葉と 戸惑い気味の会釈を返しながら
内心 〔 そんなに喜んでもらえたならよかった! 〕 と思いました。
さらには、
歩くのも大変そうだというのに 降りたあと わざわざ振り返って
律儀に また 「ありがとうね!」 と声をかけてくださる おじいさん。
ちょっと恥ずかしく思いながら 笑顔で会釈を返すと
ドアが閉まり 電車は動き出し、おじいさんの姿は視界から消えて行きました。 
私の心の中に ホワンとした心地よさが残りました。
          だけど ・・・ 
          車中には まだ スッキリとしない感情が残っていたんです。

それは
そのおじいさんが ホームレス だと思われていたらしい ということにありました。
     それがわかったのは 私が声をかけた時! 
     回りにいた方々が 私を見て 信じられない というような空気をかもし出し、
     一斉に退(ひ)くような態度をとったからでした。


  〔 えっ 何 この雰囲気! 〕
戸惑いで 一度 頭の血がサーッと引き、
周りを見回 して その血が戻るように その意味を理解 しました。
それでも そういったことを悟られるのは失礼だと思ったので
おじいさんがいらっしゃる間は 平静を装っていました。
     最後までホントに嬉 そうだったおじいさん! 
     その目と笑顔 は 優しくて可愛くて、純粋さが滲み出ているように感 じられました。
     足が心配で 気持ちが 不快 という方向に向くこともなかった私には
     周りの方々の反応のほうが しっくりいかない感 じ!
     寒々しく感 じられて けっこうショックを受けました。


もしかしたら あのおじいさん、
自分が ホームレス だと思われていることに気づいていたのでしょうか?
普段から敬遠されていて 声をかけられるなんてことがなかったのでしょうか?
だから 私が話 しかけたことを あんなにも喜んだのでしょうか?
     なんだかとっても やるせない気分 になりました。 

確かに、おじいさんは きれいに整った白髪 とはいえない
少し長めで無造作な ゴマ塩ヘアーに ちょいモジャ髭。
服装も ちょっと くたびれた感のあるものであったようには思います。
だから 見た目だけで判断すれば 清潔そうには見えなかったのかも しれません。
それにしたって、 だから ホームレス? 触れられたくない?
私の言葉に驚き、眉間にしわを寄せ、怪訝な顔を しながらサッと退いた その早さには驚愕!
多少の時間差はあったけれど、お互いに 〔 信じられない! 〕 と思った瞬間だったのでしょう。
  〔 それって かなり失礼なんじゃないのかな~!? 〕 と思う私は モヤモヤ!

ホームレス といえば 臭いの問題 があります。
だけど 車中では 普通の格好をされている方々からも
半端ない異臭を感 じることは ザラにあります。
     臭い というのは 確かに キツイ と感 じることは多いように思います。 
     だから 不快に思う臭いの方が隣りに座られた時など 明らかに顔を しかめて
     逃げるように、わかりやすく席を立たれる方を多く見受けます。
     ホームレス だとわかるような方が相手の場合は なおさら あからさまです。
     だけど、同じスーツをずっと着ているサラリーマン、汗っかきな人、ヘビースモーカーなど
     気づかない? と思うほど キツイ臭いを放たれている方は けっこういらっしゃる。
     私だって逃げ出したいと思う時はあります。 それでも すぐに立つのは失礼だと思うので
     さりげなく反対側を向いて 少なくとも しばらくは そのままいるようにしています。
     なにしろ 相手にわかるような態度をとることに対しては強い違和感がある私。
     一斉に退かれた時に感 じた 疎外感 は その思いを一層強くするものとなりました。
     だけど、この時のおじいさんからは 臭いを意識 してしまうような要素はなかった。
     気になったのは 大変そうな姿だけでした。


          だからきっと 先入観 だけの問題 なんだと思うんですが ・・・

きれいとは言い難い容姿 = 汚い = 臭い = ホームレス。
多くの方の頭の中に そんな意識が働いて、
あんな態度になってしまったのかな と思ったら 寂 しくなりました。
     私に対して一斉に向けられた視線は 〔 余計なことするなよ! 〕、 
     あるいは 〔 よくそんなこと出来るわね! 〕  〔 こっちへ来させないでよ! 〕
     といっているように感 じられました。
     言葉には出さなくても 放出される感情が見えてしまうような瞬間 というのがあります。
     それは 人数が多いほど わかりやすく漂ってくる。
     きっと 弱いものを守ってあげなくちゃ という気持ちより
     自分に害が及ぶ可能性がある という判断のほうが 瞬時で、優先もされ、
     もしかしたら 人を傷つけているかもしれない なんて思わないまま
     素直に(?) 態度に出ちゃうってことなんでしょう。
     思いを廻らしていたら なんだか寂 しくなって 小さくため息が漏れました。


          だけど ・・・
          現代は スピード社会。

問題視され 敬遠されたおじいさんは もう降りた後!
私が改めてこんな風に感 じていた時には もうすでに
その時 退いたであろうみなさんは もっと先の世界の中で生きていて、
そこは 意識もなく 振り返ることもない 過ぎた世界 になっていたのだろうと思います。
          それでも ・・・ 

  〔 人って 知らないうちに 他人を傷つけるような行動をとっている時があるのね! 〕 と思い、
  〔 人って 怖いな~! 〕 と感 じたのは事実。
ただ、何気なくしたことで あんなに喜んでくれた人がいたことも事実だし、
私には見えなかったけれど、退くのではなく譲ってくれようとした人や、
私と同じ場所にいたら 同じことをした人だっていたかもしれない、
あるいは、たまたま乗り合わせた人がそうだっただけかもしれない と思う気持ちもある。
だから、
あまりいい気分はしなかった出来事 として記憶に残す のではなく
あんな小さなことで あんなにも喜んでくれたおじいさんの あの可愛い笑顔から感 じた
  〔 人に感謝する気持ちは 人を幸せな気分 にしてくれる な~! 〕
という気持ちを大事 にしたい と思うようになりました。

     おじいさんの体臭より 周りの雰囲気が異臭のように感 じられて
     その時はホント、 〔 退かれたことに退くわ 〕 と思ったのだけれど、
     おじいさんが気づかなかったことを 幸いと思いやれば
     今は自分のアタフタ感が ちょっと 滑稽 にも思えるようになりました。
     だけど、自分では気づかないものの中に 体臭 があるっていうから
     清潔 に心掛けるようにはしたいわね~!
     それに、先入観にとらわれないことや 人に対する態度にも注意はしていたい!



たった一駅の間に起こったドラマ は 自分にとっての実録だから 鮮明!
いろいろ思うところもあったけれど、
おじいさんを傷つけなくてホントによかった!


                                     お読みいただきましてありがとうございます。
             右の<自分らしさ>か 下の<日本ブログ村> を クリック して  にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自分らしさへ
             ランキング投票にご協力いただけると嬉 しいです。
         にほんブログ村


                                  ※ 関連歌はお休み中です。
                                            詳しくは こちら で ご覧ください。






イラスト素材の一部は、下記を利用させていただいています。

   「イラスト工房」 「いらすとや」 「ふきだしさん」 「いらすとん」


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大満足だった水族館 | トップ | 車イスにもマナーは必要 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
親切心 (iina)
2017-10-24 10:59:02
ホームレス らしきおじいさんに、席が空いていると教えて喜ばれてよかったですね。

顔が2つあったら、声をかけるのも戸惑うでしょうが、当たり前のことをしたと考えればいいのではと思いました。

返信する
iinaさんへ (ワ・タ・シ)
2017-11-12 02:24:47
自分では当たり前と思ったことも そう思われない時があります。
それでも 喜んでもらえたのは嬉しいことです。

現実の世界で起こる奇なる現象は
「事実は小説よりも奇なり」と称されますが
見たり聞いたりしたことが小説などの栄養分になることも多いですよね。

返信する

コメントを投稿

ちょこっと話」カテゴリの最新記事