Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

自家培養皮膚、普及に弾みか

2008-12-23 23:59:59 | Technology

 冬にしては割に暖かい日々が続いていますけれど、やはり暖房器具や暖かい飲み物は、この時期には必須とも言えるアイテムです。

 石油ストーブに電気ストーブ、カイロに湯たんぽ、こたつに電気カーペット。とろりとしたコーンポタージュに、小豆の粒がたっぷりのお汁粉。まろやかな味わいのロイヤルミルクティーに、ドリップしたての薫り高いコーヒー・・・これらは冬を快適に乗り切るための手助けをしてくれる立役者ではありますが、総じて、ある危険をはらんでいます。

 そう、やけどです。
 ストーブに直接触るほか、カイロや電気カーペットなどは低温やけどの温床です。とくに、温度調整機能が構造上つかない湯たんぽは今でも問題になっているようです。温かい飲み物も、例えば煮立った状態で衣服の上から掛けてしまった場合、広範囲にわたって重篤なやけどを負ってしまう可能性があります。

 大人の場合で、全身の15%以上に水ぶくれの伴うような火傷を負った場合が入院のボーダーになると言われていますので、先に挙げたような例ではなかなかそこまでは行かないでしょうが・・・ひどい火傷を負ってしまったとき皮膚移植が必要になることは多々あります。通常は、自分の他の部位の皮膚を患部に移植する”自家移植”が行われることが多いそうですけれど、それを行えるほど皮膚が残っていなかった場合は、一時的に他人の皮膚を使うことになっていたわけですが・・・このたび、もう一つの手段をより選択しやすくなる成功例が報告されました。

「自家培養」の皮膚、やけど男児に移植…愛知医大 YOMIURI ONLINE

 愛知医大(愛知県長久手町)は22日、ほぼ全身に重度のやけどを負った愛知県内の男児(5)に、患者自身の細胞を培養して作った「自家培養表皮」の移植手術を実施し、成功したと発表した。

 なんでも、患者の皮膚細胞を10×8センチのシート状に培養し、その皮膚シートを患部に移植したとか。この培養皮膚を使った治療はこれまでもあったそうなのですが、今回の例の画期的なところは厚生労働省の承認が出ているところ。というのも、来月から正式に自家培養皮膚移植の保険適用が認められることになっており、このケースはそれに先駆けての適用となるようです。

重症やけど治療の培養皮膚、1月から医療保険適用 YOMIURI ONLINE

 また、重篤火傷患者への希望を提供しただけでなく、国内で初めての「再生医療」への承認という点でも記念すべきケースになります。再生医療というのは、今年話題になったIPS細胞による組織のクローニングなどを含んだ、欠損した組織を元に戻す医療技術全般のこと。日本の医療ビジネスにとっても今後の柱となり得る分野です。
 今回のケースは、いろいろな意味で、国内医療における非常に大きな一歩と言えます。次々と「命」にメスが入っていくことは何となく薄ら寒いですし、倫理観などの社会通念においてもいろいろな問題が出てくる可能性がある分野ですけれど、今はまず、助かる命が増えることを単純に喜ぶことにしましょう。