こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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アラ還病理医の分子病理専門医資格試験挑戦記(中)・・・受験勉強に王道なし

2022年02月26日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
昨日からの続き)
ロシアによるウクライナ侵攻はあっという間に首都キエフに迫っているとのこと。
軍事施設のみを攻撃した、などと喧伝しているが、かつては同じ国。
どこに何かあるかなんて百も承知で、そこを標的として戦争のする気の無い相手にミサイルを撃ち込むスイッチを入れているだけの話で、そりゃ当たるに決まっている。
それに、どんな戦争も仕掛けた方が緒戦は優勢だ。
いずれにしても、気の毒なのは無辜のウクライナ国民、さらには侵略国家の汚名を着せられるロシア国民だ。
この戦争、どのように決着するのかわからない。
プーチンにしても一旦挙げた手をどこに下ろそうというのだろう。
さて、背水の陣で受験することにした分子病理専門医試験。
当然のことながら出題範囲は膨大で、項目を眺めただけで一度は絶望した。
そりゃ、病理専門医としての診断能力を有しているのが前提の資格で、これにさらに腫瘍、遺伝子の特徴を理解し、治療方針の決定の可否にまで関わっていかなくてはいけないのだから当然だ。
これまで、私は、学生時代、試験ではあまり仲間に相談することをしない、ある意味試験には不向きな人間であったが、今回はさすがに誰かに相談しなくてはと思い、昨年の試験ですでに合格していた飲み仲間でもある後輩病理医に教えを求めた。

 そうしたら、

コロ健先生がんばってください

と、わかりやすく力強い励ましの言葉で始まる長文のメールをさっそく送ってくれた。
いい後輩をもったものだとつくづく思った。
試験の概要、使った参考書および勉強方法、さらには自分用に作った貴重な資料まで添付してくれていた。
それらを一瞥して、まず分かったことは、

いくつになっても勉強に安易な道はない、すなわち学問に王道なし

ということ。
まずはアミノ酸の表記を覚えるための単語帳を選びに通勤帰りにLOFTに寄った。

単語帳を使っての勉強は学生以来。
文具売り場で単語帳の場所を尋ねたら、若い店員に一瞬怪訝な顔をされたのが忘れられない思い出となった。

グルタミン酸いーお味(グルタミン酸は3文字表記でGluだが、1文字表記だとE)、なんて語呂合わせを作っていこうかと思ったものの、(笑点大喜利の)小遊三みたいなの(下ネタ)ばかり浮かんできて、これではいかんと、地道にそのまま覚えることにした。
後輩が寄越してくれた資料からも単語を抜き書きしていったらあっという間に単語帳2冊となった。
通勤電車の中で、白髪頭のおっさんが単語帳で勉強しているのはちょっと珍しい光景だっのではないか。

参考書は4、5冊用意し、それぞれを最初から最後までマーカーで線を引きながら全て通読。
4巻まで順調に読み進めていたレ・ミゼラブルは試験が終わってから読むことにして最後の5巻を封印した。
9月から12月19日の試験日まで読んだ本はがんゲノム医療に関する本だけだった(2021年9月の読書記録2021年11月の読書記録)。
最後に読んだ参考書は、その後輩病理医が試験の前の週になってメールで知らせてきてくれたもので、練習問題が出ているという。
大急ぎでネットで注文して読み込んだ。

ノートはほぼ1冊書き潰した。

週に2度開催されるエキスパートパネルには(オブザーバーとして)なるべく参加したが、なにをディスカッションしているのかがわからない。勉強を本格的な始めた8月ごろは

なぜわからないかが、わからなかった

が、11月ごろには、

なぜわからないかが、わかってきた

わからないところがわかってくるなんて、勉強の成果というのはすごいものだと感じつつも、

 いまからこんなにたくさんのことを勉強しなくてはいけないのか

と今度はめまいがしてきた。だが、そんなことを言っていては合格などおぼつかない。
発がんの分子機構を必死に覚えていったが、年のせいで、覚えていく端からどんどん忘れる。
12月にはいるとエキスパートパネルも残り少し、エキスパートの先生方は、相変わらず難しいことを話しているが、うっすらとそれぞれの患者さんの状態がわかる様にはなった。
どの先生もいま、命がけでがんと闘っている患者さんのために、真剣に意見をたたかわせていた。

そして、最後の参考書を一週間で読破し、「練習問題」(109問)と「症例問題」(5題)を3回解いたところでタイムアップ。
もちろん、全てを覚えきるなんてことはできないまま、いよいよ試験日。
明日に続く)

参考書についてはエピローグ

やるだけのことはやった

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