ここ数日来、煮詰まりつつあった考え事を妻に相談した。鏡を見て自分の仏頂面と対話しても妙案が浮かばず、精神的にも限界に近づいていた。
「あのね、人と話す時は、相手の人を柔らかい心で包み込むようにするの。そうしたら、相手の人も安心してあなたのいうことに耳を傾けてくれるわよ。」
そうか、もし自分がそうしてもらったら、わかってあげよう、力になってあげよう、そういう気持ちになるかもしれない。すくなくとも喧嘩腰、対立するような状態で話をしてもお互いいいことは何一つない。
イソップ物語の中に「北風と太陽」という話がある。あの話は、北風の冷たさと太陽の暑さの対比で、暑ければそりゃあ上着を脱ぎたくもなるというものだ。
妻が私に教えてくれたのは、そういうことではなくて、もっと相手を思い、ともに幸せになる、そういったアプローチのやり方だった。
人に動いてもらおう、そう考えたら相手をinvolve(巻き込む)しなくてはいけない。そのためには、どうしたらいいか。
必要なのは薄っぺらな笑顔ではないし、おためごかしの誘い文句でもない。ましてやお情けちょうだいの苦しい顔でもない。誰だって、子供だってついてきやしない。
相手を柔らかく優しく包み込む優しく温かい気持ちがあれば、笑顔があふれ、相手の目を見て、心のレベルで話すことができる。
そして私は救われた