【カシャリ!庭園めぐりの旅】2301 東京 新宿御苑 江戸武家屋敷庭園の面影を残す都会の庭園
若い頃からひとり旅が好きで、経営コンサルタントとして独立してからは、仕事の合間に旅をしたのか、旅行の合間に仕事をしたのかわかりませんが、カメラをぶら下げて【カシャリ! ひとり旅】をしてきました。
旅のテーマは寺社や庭園めぐりです。
日本には「日本庭園」と呼ばれる庭園だけではなく、「イングリッシュガーデン」など、海外の庭園形式をした庭園も多数あります。寺社を訪れたときに、想定していなかったところに、庭園を発見することがあります。
下手の横好きで、【カシャリ! ひとり旅】を続けていますが、その一環で訪れた庭園を順次紹介してまいりたいと思います。
■ 概要
「新宿御苑」(しんじゅくぎょえん)は、環境省管轄の国民公園です。大木戸門から入ったあたりの玉藻池が、江戸時代に武家屋敷の庭園「玉川園」でした。
広さ58.3ヘクタール、周囲3.5kmの園内に、ヨーロッパ式の風景式庭園と整形式庭園、日本庭園を巧みに組み合わせています。
日本における近代西洋庭園の名園といわれ、特色あふれる様式の庭園が楽しめます。
新宿御苑は、東京都新宿区にある広大な庭園であり、かつては明治天皇の御料庭園として使われていました。明治時代には、西洋式の庭園が流行していましたが、明治天皇は日本伝統の庭園に興味を持ち、庭師の渡辺嘉助に命じて日本庭園を作らせました。
渡辺嘉助は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した庭師で、新宿御苑をはじめ、多くの日本庭園を手掛けました。彼は、自然を生かすことを大切にし、庭園の中に池や石組み、橋などを配置することで、自然の風景を表現しました。
新宿御苑の作庭の意図は、日本庭園の代表的な要素である「自然美」を表現することにあります。庭園内には、池や石組み、橋、枯山水など、日本庭園に欠かせない要素が配置されています。また、庭園の中には、植物園もあり、多くの樹木や草花が植えられています。
近代の造園家・原煕も携わった広い園内には「玉川園」以外の日本庭園やフランス式洋風庭園があり、園内にある茶室「楽羽亭」の設計は茶室研究家・中村昌生さんの手掛けたものです。
新宿御苑は、庭園分類では複合型庭園といえます。風景式庭園、整形式庭園、日本庭園、玉藻池や家族連れで楽しめる母と子の森、植物を楽しめる温室があります。
中でも「池泉回遊式庭園」部分におきましては、池や小川を中心に回遊路を配置し、庭園内の風景を楽しむことができます。また、新宿御苑は、日本庭園の中でも比較的広い庭園であり、自然と調和した景観が広がっています。
歴史建造物も配されています。旧洋館御休所、旧御凉亭、旧温室の遺構、旧門衛所(旧新宿門衛所、旧大木戸門衛所)、擬木橋(ぎぼくばし)など、歴史的な価値を見出せます。
新宿御苑の特徴は、日本庭園の伝統的な要素が多く取り入れられていることです。庭園内には、自然石を使用した石組みや、枯山水、落ち葉を敷いた小道などがあります。また、池には、色とりどりの鯉や亀が泳いでおり、季節によっては桜や紅葉も楽しめます。新宿御苑は、都心にありながら、日本の自然美を楽しむことができる貴重な場所です。
■ 歴史
新宿御苑の起源は、江戸時代に内藤家がその地に屋敷地を与えられたことに遡ります。内藤家は代々新宿に居を構え、玉川園や甲州街道の宿駅である内藤新宿など、その土地に名を残しました。明治時代には、内藤家の邸宅地と周辺地が大蔵省によって購入され、「内藤新宿試験場」として牧畜園芸の改良が行われました。この試験場は、欧米や中国から種子や苗を輸入し、農業技術の研究や改良を行い、広く民間にもその成果を伝えていました。
明治10年に農事修学場が開校され、ヨーロッパから講師を招き、農業の近代化が進められました。この時期には洋式の花卉園芸はほとんど発展していませんでしたが、宮内省では菊栽培の技術の発展に力を注ぎ、植物御苑として改称されました。福羽逸人は、新宿御苑の発展に欠くことのできない人物であり、植物御苑で無加温室での温室ブドウの栽培などを手がけ、後の国民公園としての御苑の発足に大きく貢献しました。
福羽逸人卿は、新宿植物御苑の総指揮者として、ヨーロッパの建築や庭園様式を取り入れた庭園改造計画を実施しました。彼は、ヴェルサイユ園芸学校の造園教授アンリ・マルチネーに改造計画を依頼し、明治39年に日本で初めての大庭園「新宿御苑」が完成しました。庭園は、ビスタラインなどの様式で特徴があり、皇室の園遊の場としても使用されました。また、温室植物の収集、研究、改良も進められ、桜や菊などの日本の代表的な花卉栽培にも力を注ぎました。
戦後の厳しい状況下で、新宿御苑は庭園を維持することができず、芝生は開墾されて農耕地になりました。しかし、東京都からの依頼を受け、都立農業科学講習所用地として借用され、昭和22年の閣議決定によって国民公園として運営されることになりました。その後、財団法人新宿御苑保存会が設立され、入園者数も増加し、菊や桜の観賞会も再開されました。昭和33年にはドーム型の大温室が完成し、平成24年には環境配慮型温室としてリニューアルされました。現在は国民公園協会によって運営され、国民の憩いの場として親しまれています。
■ 特色あふれる庭園様式
広さ58.3ヘクタール、周囲3.5kmの園内に、ヨーロッパ式の風景式庭園と整形式庭園、日本庭園を巧みに組み合わせています。
日本における近代西洋庭園の名園といわれ、特色あふれる様式の庭園が楽しめます。風景式庭園、整形式庭園、日本庭園、玉藻池や家族連れで楽しめる母と子の森、植物を楽しめる温室があります。
風景式庭園
ゆったりと広がる芝生と、自然のままにのびのび育った巨樹が特徴の庭園です。新宿門から整形式庭園へまっすぐのびた、見通し線(ビスタライン)の中央には、御苑のシンボルツリー・高さ30mをこえるユリノキが高くそびえています。
整形式庭園
110種類約500株の特色あふれる花々が咲き誇るバラ花壇を中央に、左右対称に計約160本のプラタナスを4列の並木にデザインした庭園です。
日本庭園
ゆるやかな池の流れに沿った、池泉回遊式の庭園です。
古くは鴨場として作られ、昭和のはじめに日本庭園として改装されました。
11月には皇室ゆかりの菊花壇展が開催されます。
玉藻池
江戸時代の内藤家の屋敷跡の面影をとどめる庭園です。
現在の大木戸休憩所には、御殿が建てられ、池、谷、築山をしつらえた景勝地「玉川園」が造られたといわれています。
母と子の森
都会に住む子どもたちが自然とのふれあいを楽しみ、豊かな感性と自然への関心を育むために、昭和60年(1985)に造られた自然観察フィールドです。
身近な木々や草花、昆虫などとのふれあいが楽しめます。
温室
明治8年(1875)に建てられたガラス張りの温室がルーツで、平成24年(2012)に絶滅危惧種の保存・展示を行う環境配慮型の温室となりました。
熱帯・亜熱帯の植物を中心に約2700種を栽培しています。
11月には洋ラン展が開催されます。
■ 歴史建造物
明治時代に創建された旧洋館御休所や日本庭園の旧御凉亭など、皇室庭園の歴史を今に遺す歴史建造物があります。
旧洋館御休所(きゅうようかんごきゅうしょ)
天皇や皇族が新宿御苑内の温室を鑑賞する際の休憩所として明治29年(1896)に創建されました。大正13年(1924)に現在の規模になり、クラブハウスとして使用されました。
建物は宮内省匠寮により設計され、アメリカの建築様式スティック・スタイルを基調としています。(平成13年(2001)重要文化財(建築)指定)
旧御凉亭(きゅうごりょうてい)
皇太子(後の昭和天皇)の御成婚記念として昭和2年(1927)に献上された建物です。中国ビンナン建築様式の特徴を取り入れた、日本にある数少ない本格的中国風建築です。
設計者の建築家・森山松之助は「水の上に立つ御休息所」「夏の御散策の際に涼をとる建物」と設計意図を語っています。
旧温室の遺構
明治26年(1893)から大正3年(1914)にかけて建てられた初期の温室の遺構で、平成22年(2010)の埋蔵物発掘調査で出土しました。
温室の一番東側の基礎部分で、基礎石部分の上に切石、さらに煉瓦が積まれた構造をしていました。
旧門衛所(旧新宿門衛所、旧大木戸門衛所)
昭和2年(1927)に建てられた門衛所です。
当時の独特のデザイン性や、御苑の歴史的・景観的価値が評価されている建造物です。
擬木橋(ぎぼくばし)
明治37年(1904)のセントルイス万博で展示されていたものを輸入し、フランス人技師が設営工事を行い、明治38年に完成しました。日本初の木を模した欄干といわれています。
■ アクセス
各線 新宿駅より徒歩10分
丸ノ内線 新宿御苑前駅より徒歩5分
JR千駄ヶ谷駅より千駄ヶ谷門まで徒歩5分
インデックス
< 今後追加して参ります >
風景式庭園
整形式庭園
日本庭園
玉藻池
旧御凉亭
春の新宿御苑
夏の新宿御苑
秋の新宿御苑
冬の新宿御苑
御苑の桜
リスト http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmovie.htm
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写真集は、下記URLよりご覧いただくことができます。
静止画: http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmeisho.htm
映像: http://www.glomaconj.com/butsuzou/meisho/indexmovie.htm
【 注 】 映像集と庭園めぐりは、重複した映像が含まれています