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「枯葉の中の青い炎」 辻原登

2015-10-08 | 読書

20年以上前、「村の名前」で芥川賞を受賞した作者の10年くらい前の短編集。谷崎賞受賞。6つの作品がある。

どれも不気味で面白い。

「ちょっとゆがんだ私のブローチ」

夫が浮気していた。女子大生と!!

相手は卒業したら実家に帰り、結婚することが決まっている。その前に一月一緒に暮らしたい。妻はいいわよと承諾する。妻は夫のあとをつけてその部屋を突き止め、向かいの上層階を借りて部屋を見下ろす。

最後の二日間、弟が上京してきて、夫は部屋を出ざるを得ないが、彼女が行方不明になったと憔悴している。別れの記念に30万円のラスビラズリをプレゼントするが、なぜかそのブローチが妻の胸にある。

・・・・・・怖いですねぇ。深読みしなくても怖い。

その他の作品もすべて、毎日の暮らしの下に隠れた人の情動、不思議な因縁、などをいかにもありそうに書いているので怖い。

色々な場面があるけれど、三菱銀行銃撃事件、改めて読んでみるとものすごく残忍でものすごく怖い。で、その一部始終を知っていた人間がいた・・・

今、夜中にこれ書いてるけど、世の中にはどんなことでも起きる。その不気味さと怖さにちょっとぞくっとしている。

いちばん身近なのはやはり「・・・ブローチ」かな。以前街頭インタビューで、同じ目に遭った人が話していたから、中にはこんなことする男もいるんだろう。笑って許さない。極限の復讐。私には到底度胸はないけれど。

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