片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる。

2006年06月19日 | 私の正論

何を偉そうにと呆れられそうだが、これは高村光太郎の道程の出だし。

私がコンピュータの仕事を始めた頃のオフィスを思い出した。まだ電卓はなくソロバン。コピーはジアゾ式(薄い紙に鉛筆で書いて、印画紙と重ねて複写する方式)。電話はあるがFAXはない。

そんな会社に電子計算機を導入するということになった。まずやったことは、現在の業務フローを書くこと。個別受注生産の電機メーカだったので、引き合いから見積、設計、生産計画、資材調達、製造、検査、出荷、納品、検収、請求、売掛、入金といった流れを、すべて流れ図として記述する。当時産業能率大学が考案した能率定規というのがあり、それで書いた。流れ図は10数メートルにもなった。四角の部屋にぐるっと張り巡らした。それを見ながら、どこをコンピュータ化するか、それぞれの部門の出身者と相談しながら決めていく。

部門間のオフィシャルな情報伝達は、伝票だ。8枚にも上る複写伝票が、部門を通過するごとに押印され1枚控えを残して次の部門に渡される。当時はバッチ処理なので、この流れから発生するデータをコンピュータに把握集計させ、ソロバン作業の撤廃、事務合理化、経営の可視化を目指した。この時代、コンピュータをどう使うかは、会社全体の最大の関心事だった。決して情報システム部門に任せるといったことではなかった。(というよりコンピュータの専門家はまだ世の中にほとんどいなかった)

今インフラはさまざまに整ってきた。これを利用して、改めて、業務の現場による現場のためのコンピュータ活用を考えてみたい。私達の前に道はないと、改めて思う。



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