片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

日経コンピュータで崖っぷちのIT部門という特集が組まれたが、、、、

2014年01月26日 | 私の正論
日経コンピュータが創刊されたのは、今から33年前の1981年だ。

あのときはうれしかった。
さまざまな業界向けの専門誌があるのにコンピュータ業界だけがなかったからだ。
市民権を得たと思った。

当時は汎用機からオフコン、ミニコンの時代で、それぞれのメーカが凌ぎを削っていた。
ユーザもどこのメーカを選ぶかが非常に重要で、一度選んだらまず浮気せずどっぷり付き合っていくというのが普通だった。
ユーザ企業の情報システム部門は活気にあふれ、次世代の経営者は、情報システム部長経験者がなるだろうとまで、まことしやかに言われた時代だった。
それが、日経コンピュータ創刊33年にして、「崖っぷちのIT部門」と来た。私は日経コンピュータの編集方針にも問題があったのではないかと思う。半歩先を行くというのが日経コンピュータの編集方針だからだ。半歩先を行った結果IT部門を崖っぷちに追いやってしまった。

ともあれ、この間に何があったか、考えてみる。


当初は、コンピュータ部門は花形だった。
人材も、20代後半で仕事もバリバリでき、新しいことも十分理解できている若手を現場から抜擢して、メーカの研修におくりこんで、SEやプログラマーとして養成した。IT部門の人は、出身部門の代表的なところがあった。
現場とはとても仲が良かった。
ところが年を経るにつれて、業務経験のない新人が、直接情報システム部門に配属されるようになった。これは人事部の明らかな誤解だと思うのだが、理系よりも文系のほうが事務処理には長けているのに、理系の新入社員を業務経験なしにいきなりIT部門に配属した。これではコンピュータのことしかわからない仕事音痴人間が純粋培養されてしまう。こういったことが繰り返されて、今回の「崖っぷちのIT部門」特集になったのではないかと思う。

IT部門の人材育成には現業部門との人事交流が絶対に必要だ。
現業経験のないIT部門の人間には、業務システムがどうあるべきか自分では判断できない。
ITのことがIT部門の専売特許であるうちは、それでも現場を封じ込めることができた。しかしパソコンが普及して20年以上経つ。自分の仕事にコンピュータを使うことは、どんな人にとってもたいてい経験がある。仕事を知り、ITの使いどころがわかっているのは、もはやIT部門の人間ではなく、事業部門の人間になってきた。特に営業支援系などではIT部門は現場の意見を聞いてまとめることくらいしかできないだろう。それほど土地勘がないはずだ。


IT部門復活の特効薬は、ある。
情報システムの在り方について常に苦言を呈している現業部門の人が会社には必ずいる。その人を抜擢して情報システム部長にしてしまうことだ。そういった人事の結果、業界に誇れる情報システムを構築した会社をいくつか知っている。注意しなければいけないのは、本気で文句を言っている人を選ばないと、祭り上げられてしまったら、前よりもっと悪くなるということが往々にしてあることだ。