片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

業務パッケージビジネスの勝ち残り術は、ユーザニーズをすべて取り込むこと

2013年09月26日 | Weblog
第69回 BPIA 目からウロコの新・ビジネスモデル研究会

業務パッケージビジネスの勝ち残り術
株式会社グッドフェローズ 代表取締役 磯部昌美

1990年12月13日にオープンした新幹線の駅直結のスキー場、ガーラ湯沢に最新鋭のチケットシステムが導入された。
これまでグローブを外して回数券を渡して鋏を入れてもらったのが、ゴムバンドで腕にはめたバーコードを読み取るだけで、予め預託しておいた金額から自動的に引き落とされる仕組みだ。レストランでの食事もみな同じ仕組みでできている。
そのシステムは汎用機のACOSとミニコン、N5200という端末で構成されていた。
開発費20億円ランニングコスト年4億円というシステムだ。

ところがそのシステムは3月末のシーズン終了とのともに廃棄された。
親会社はJR東日本だが、社長が更迭され後任社長の鶴の一声で決まった。
費用対効果を無視したシステムなど存在価値がないことを、開発の陣頭指揮をとっていた磯部さんは悟った。
売り上げ規模を想定して、それに見合ったシステムでないと、事業そのものが破たんしてしまうのだ。


そこでの貴重な体験を元に、その後磯部さんはグッドフェローズに移り、中堅規模スキー場という餌場にターゲットを絞ってチケット販売システムを提案していった。やったこともなスキーを30歳から始め、土日は毎週スキー、平日も営業でスキー場という日々が続いた。
そして、いくつかの案件を受注していくうちに磯田さんの中にスキー場運営のノウハウどんどん溜まっていった。

パッケージ開発にあたっての要件はこちら。




しかしスキーの人気は急激に落ち、止む無く似たようなビジネスモデルへの横展開を考えた。

だいたい発券システムを必要としている顧客は、新規に事業を始めるところが多い。
磯部さんは、ほとんど事業コンサルタントのようになっていった。
システム要件も、実にさまざまでバラエティーに富んでいる。
磯部さんは、そんな機能はいらないのではないかと思っても、そうは言わないで何でも取り入れていった。
そうすることで、何年か経つと、顧客の要求していることのほとんどすべての機能を持つようになっていった。顧客はその中から必要な機能を選んで使えばいいという感じになってきた。
顧客がRFPをまとめきれないことがあると、顧客に成り代わってRFPを作ってあげることもある。当然そうなれば、自社が受注する確率が格段に高くなる。

グッドフェローズには営業のコツがある。予算はいくらか、キーマンはいるか、ニーズはどの程度か、タイミングはどうか?この4つが確認できない限り営業は仕掛けない。

グッドフェローズには運用設計書/運用概説書があり、これを顧客に提供してカスタマイズする。手探りで、志だけでビジネスを始めようとする顧客にとっては喉から手が出るほど欲しいものだ。運用方法をすっかり決めてから追加開発などをする。ビジネスを一緒に作り上げていく気持ちがないとできないという。

パッケージの名前は券作くん。

長年パッケージビジネスに携わってきた私も思わず、おみごと!と思った。
世の中にはすごい人がいるものだと。

ところで磯部さんは推理作家でもあった。文学賞も受賞されている。

是非読んでみたい。