東山の将軍塚にある青蓮院門跡の飛び地境内「将軍塚大日堂」で青龍殿の移築再建が整い青不動明王の御開帳が行われました。
期間は、平成26年10月8日~12月23日 夜間のライトアップも行われました。
今回、移築再建された青龍殿は、北野天満宮前にありました「平安道場」(旧大日本武徳会京都支部武徳殿)を京都府より譲り受け、飛地境内の
将軍塚に移築、再建されたもので、平安道場は、大正3年竣工の大正天皇御大典記念に建造された武道場で、老朽化により解体処分が決定して
おりましたが、この建物は現在では求めることのできない大木の檜材を用い、京都府民の貴重な浄財によって建立されておりました事と、また
木造建築技術が頂点に達した頃に建てられた木造文化財であることから、何としても保存し、後世に伝えるべきとの使命感をもち、移築再建し
て大護摩堂に活用することに思い至りました。
実現にあたっては、京都府との3年にわたる交渉を経て、平安道場を解体し、東山山頂に運び、京都市の許認可取得に4年11カ月を要し、計5
年11カ月の交渉時期を経て昨年末の完成にいたりました。
解体にあたっては、部材を損傷しないよう組手を外す高度な技術や経験を要し、瓦の葺きおろし廃棄や、建築基準法上、再建時には新築として
の許可条件を全て充足する必要や、古い部材の一々を強度計算し直し、現行の厳しい構造計算に合致させるための補強を必要とし、設計、再建
工事全てに多額の費用を要することになりました。そこで、青龍殿建立のために檀信徒、拝観者ならびに特別ご支援者にご協力を仰ぎ、多くの
方がたのご寄進により、実現できることになりました。
青龍殿は、奈良の大仏殿の横幅半分ほどあり日本木造建築技術の最高期に造られた巨大木造建築です。こうした歴史的建築物を解体し移築、再
建することは極めて珍しく、皆様にお参りいただく外陣の後ろに、新築の内陣と青不動を安置する奥殿を建造いたしております。
多額の移築費用が掛かっているため、御開帳の拝観料は少々高めになっておりますが、 青蓮院からのシャトルバスの運行や山頂近くに駐車場の
確保されていたため連日多数の参拝者が訪れていたそうです。
元平安道場の青龍殿
青龍殿の奥に祀られている青不動明王は、平安当初、宮中にて皇室の安寧、国の安泰を祈る尊像でしたが、青蓮院に下賜され、平安時代からの
秘仏として高僧の手によって、青蓮院にて代々受け継がれてきました。 11世紀の最高の絵師が身命を賭して制作し、あまたの高僧によって念
じ続けられ、多くの願いが込められております。
青蓮院の国宝「不動明王二童子像(青不動)」は、高野山明王院の赤不動、三井寺の黄不動とともに日本三不動画のひとつされており現存する
平安仏画の最高傑作で、「不動十九観」という規定に基づいて描かれており、信仰上も、美術的にも極めて貴重なものだそうです。
平成21年には、青蓮院創建以来のご開帳を3カ月間行い、全国から約37万人の方々にお参りいただきました。その後文化庁で3年間の修復を
行い、このたび復元模写を行っていた京都国立博物館より戻り、青龍殿落慶を記念して5年ぶりにご開帳することになりました。
五山の送り火や、比叡山から大阪までを一望できる場所として知られる将軍塚ですが、青龍殿の建物とともに延面積1,046㎡の大舞台が設置さ
れました。
大舞台より東山の北側の眺望
東北方面に見える南禅寺の山門
真北側に位置する金戒光明寺と左手の吉田山
京都市の中心にある京都御苑
京都市の西側の眺望 正面の愛宕山の山頂には愛宕神社が鎮座しております。
新築された青不動が祀られているお堂
平安神宮と大鳥居 大鳥居の右手の木々に隠れているのは京都市美術館です。
京都御苑
将軍塚 8世紀、桓武天皇は都を奈良から京都南方の長岡に移されましたがいろいろと事故が続きました。そこで、和気清麻呂が天皇を東山山
頂にお誘いし、この辺りから京都盆地を見下ろしながら、京都が都の場所にふさわしい旨進言。天皇はその勧めに従って延暦13年(794年)、
平安遷都に着手されました。桓武天皇は、都の鎮護のために、直径約20メートル、高さ2.5メートル程の将軍の像を土で作り、鎧甲を着せ鉄の
弓矢を持たせ太刀を帯させ、塚に埋めるように命じました。これがこの地を「将軍塚」と呼ぶ由来です。
平安時代後期の天台僧による「鳥羽僧正絵巻」には将軍塚造営の絵図が残されているほか、国家の大事があるとこの将軍塚が鳴動したという伝
説が「源平盛衰記」や「太平記」にも残されています。近代では、東郷元帥、黒木大将、大隈重信、菊池大雪などのお手植えの松と石柱があ
り、往時の偉人たちが訪れ、京の都を一望して将来に思いを馳せたことが偲ばれる由緒ある場所です。
春秋にはライトアップも行い、五山の送り火や精霊の回向法要の時も多くの人が訪れております。京都市内、比叡山から大阪までを一望できる
景勝の地で、また境内、約三千坪の庭園は、桜、源平枝垂れ桃、紅葉の名所として有名です。
次回は、多分春頃に拝観できると思いますが、お問い合わせは、050-5542-8600でご確認ください。
地図
https://www.google.com/maps/@35.00215,135.788292,16z?hl=ja-JP
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