2011年 京の夏の旅 文化財特別公開の企画により9月30日まで公開されている南禅寺の大寧軒に伺ってきました。
左手奥に南禅寺の山門があり、その手前の金地院の門を潜り大寧軒に向かいます。
金地院の山門前を通り南に進みます。
金地院の中にある東照宮の山門です。金地院は、応永年間(15世紀初頭)に室町幕府4代将軍足利義持が大業徳基を開山として洛北・鷹ケ峯に創建
した寺院で、江戸時代に徳川家康の信任が篤く、「黒衣の宰相」と呼ばれた崇伝(以心崇伝、金地院崇伝)によって現在地に移築され現在に至ってお
ります。
本堂の庭園を挟んだ南側には東照宮が建ち、崇伝が徳川家康の遺言により、家康の遺髪と念持仏とを祀って寛永5年(1628年)に造営したものです。
その東照宮の南側に位置する大寧軒は、南禅寺境内にあり、臨済宗南禅寺派の塔頭寺院のひとつでしたが、明治初期の廃仏毀釈により 廃寺となり
ました。その後、明治末期その跡に、茶道の家元・藪内11代家元・透月斎竹窓紹智によって作られたもので、飛び石の打ち方や苑路などに趣向を凝
らした露地風の庭園となっております。
表門を入り、石畳の突き当たりに受付があります。
庭園は、中央に池が配され、受付から続く飛び石伝いに回る、池泉回遊式庭園になっております。
庭園入口
庭園は、東山三十六峰の一つの大日山(標高150m)を借景にした470坪の広さがあり、優雅な曲線を持つ池が作られ、その奥から幅広い流れが池に
注ぎ込まれております。 右手には、茶室の「環翠庵」が佇みます。
取水口の滝からの流れの中に建つ「三柱鳥居」
庭園内には、様々な形の灯籠と手水鉢があると係りの方から伺いましたのでチェックしてみました。こちらは、池の東側に建つ一般的な六角燈籠です。
パンフレットでは、春日型・雪見型・織部型などが配置されていると説明されております。
こちらの燈籠は、水の中に建っておりますが、火袋から笠の部分にかけては、雪見灯篭といわれる笠に似ております。
主屋の前の手水鉢は、正方形に彫られております。
手水鉢の前には、利久型と呼ばれる灯籠が建ちます。利久といえば、茶人・千利休を連想しますが、この灯籠の場合は正式には「利久」と言う字を当
てます。名前から利休や茶道との関連を考えますが、とくに関わりを示すものはないそうです。
利久型燈籠の右手には、2メートルの玄武岩が鎮座いたしております。玄武岩とは、兵庫県・城崎温泉のほとりを流れる円山川に面した玄武洞で取れ
る岩の事で、江戸時代後期の文化4年(1807年)幕府の儒学者・柴野栗山がここを訪れ伝説上の動物玄武の姿に見えることから「玄武洞」と名付けた
そうで、岩は柱状の5~8角形の形状をいたしておいます。 現在は、採掘持ち出しが禁じられているそうです。
燈籠や玄武岩がある築山一帯は夏でも色褪せない杉苔に覆われております。
池のほとりを通り待合の方に進みます。
澄みきった池に黄金色の鯉が優雅に泳いでおりました。
庭園で良く目にする石塔は、もとは仏教の緒仏に対する供養として、主として寺院に棒げられていたものですが、桃山時代になって茶人の方々が注目
するところとなり、茶庭に用いられるようになったと云われており、三・五・七・九・十一・十三と奇数で構成されております。
こちらの鳥居は、京都の三珍鳥居の一つと云われる蚕ノ社の「三柱鳥居」を模したものと云われ、普通の明神鳥
居を三角形に組み合わせたもので、三角形の中央から水が湧き出ており、この湧き水の水源を石で三角に積み
上げた神座(かみくら)を三方の鳥居で囲んで、それぞれの正面から拝めるようにしてあると言う説が、本家の蚕
ノ社でも説明されております。
庭園に取り込まれている滝口の水は、琵琶湖疏水の取水口の一つから導かれ、落差を利用して3メートルの滝を表現しております。こちらの四角の燈
籠は、基礎の部分が無く活け込み式になっておいます。パンフレットに織部燈籠が配置されていると書かれており、たぶんこの燈籠ではないかと思い
ます。期間内に行かれる方は係りの方にご確認ください。
滝口の横にも燈籠が建ちます。
左手が待合で、係りの方が詳しく説明してくださいます。
待合から
庭内に建つ茶室「環翠庵」は、内部の公開はありませんが、お客さんが少なかったので見せてくださいました。 二畳台目の茶室で、待合を備えてお
ります。天井の造りも三種類からなり、亭主・主客・お付の席と異なった天井で構成され、亭主の天井は主客の席より一段低い天井になっており主客
をもてなす気持ちを表しているそうです。
茶室前の蹲踞です。 お茶の流派によって左右の石の使い方が違うことを初めて知りました。
庭園出口の手水鉢は、とても趣のあるものでした。 燈籠も先ほどの織部燈籠のようでしたが、(舟着型燈籠にも似ておりますが)笠の形と宝珠の形
も違い基礎もありました。
出口の左手に手水場があり奥に祠が祀られております。
こちらも個性的な燈籠ですが、名前を見つけることが出来ませんでした。
表門を入ったところの、四角置き燈籠です。 数えましたところ、敷地内の庭園には10基の燈籠と 5個の手水鉢が確認できました。
金地院の向かいの塔頭・南陽院です。非公開
この時間に咲いているのは昼顔でしょうか、満開でした。ちなみに、朝顔は、ヒルガオ科の一年草で早朝に開いて昼前にしぼむそうで、 昼顔は、ヒル
ガオ科の多年草で日中に開くそうです。夕顔 は、ウリ科の一年草で夏の夕方に開き、翌朝にはしぼむそうです。三種類とも種類が違うそうです。知ら
なかったのは私だけかもしれませんね。
南禅寺の駐車場は、一回1000円と小々高めなので、塔頭だけでなく山内も十分お回りください。
南禅寺 大寧軒、すばらしいですね。
ブログのお友達から、ご覧になってみてください、とアドレスを紹介してくださいましたので、お邪魔しました。
是非機会がありましたら行ってみたいです。
ありがとうございます。