中離宮から望む上離宮
隣雲亭(りんうんてい)
百合のような花が咲いてましたが、初めて見る植物でした。
ここから上り坂になります。
今回、拝観予約が殺到する時期に予約を取っていただいた、お客様夫妻と一緒に回らせていただいております。
杮葺の御成門
隣雲亭前から眺める浴龍池
上離宮は、巨大な人工池の浴龍池(よくりゅうち)と大刈込を中心とした壮大な庭園で構成され、浴龍池は谷川を堰き止めて造った人工池で、
堤防は高さは13メートルあり、延長200メートルに及び4段の石垣で補強されておりますが、武骨な石垣が見えないよう、3段の生垣と大刈込
で覆っております。 大刈込とは、異なる種類の樹木を混ぜ植えたものを刈込んで、全体の形を整えた生垣の事を言うそうです。
高台からは、北白川、一乗寺方面が見渡せます。
大刈込の中、この時期にさつきの花が開花しておりました。
浴龍池は、島の形を泳ぐ龍の姿に見立てたものと云われております。 浴龍池には中央の中島(窮邃亭)のほか、2つの島があり、北側の島は三
保島、南側の島は万松塢(ばんしょうう)といいます。中島には東岸から楓橋、北岸から土橋が架かり、楓橋は欄干付の木橋、土橋は上に土を
盛った木橋の事をいうそうです。中島と万松塢の間には石橋の千歳橋が架かります。
隣雲亭は、海抜150メートル、浴龍池との標高差10メートルのところに建ち、当初の建物は1677年に焼失し、現存する建物は1824年に再建さ
れたものだそうです。池を眺望するための簡素な建物で、床(とこ)、棚などの座敷飾りはなく、装飾は欄間の花菱文と釘隠にみられる程度だ
そうです。
池の周りが回遊できるようになっておりますので苑路を進みます。
山から池に水を供給する滝が流れ込んでおります。
池の中央の中島と窮邃亭(きゅうすいてい)の建つ島を結ぶ石で出来ている千歳橋
窮邃亭に渡る楓橋
千歳橋は、中島と万松塢(まんしょうう)の間に架かる石橋で特色ある外観をもった屋形橋であるが、当初から離宮にあったものではないそう
です。切石積みの橋台に一枚石の橋板を渡し、東には宝形造、西には寄棟造の屋根を架けたもので、宝形造屋根の頂部には金銅の鳳凰が立ち
輝いております。1824年の離宮改修時に、京都所司代の内藤信敦が橋台を寄進し、1827年に水野忠邦が屋形を寄進したものだそうです。
説明には、いかにも中国的な感じで自然に溶け込まず違和感がありますが、それもまたアンバランスの美と言えると書かれております。
窮邃亭は、後水尾院によって造営された上の茶屋・下の茶屋の建物のほとんどが滅失または再建されているなかで、本建物は唯一、創建当時の
ものとされており、ただし、幕末頃には相当に荒廃していた様子で大幅な修理が加わっているそうです。
この建物は、壁でふさがれているのは水屋部分のみで、他は4面とも明障子の戸または窓となっており、南側上がり口の軒下の「窮邃」の額は
後水尾院の筆であるそうです。
浴龍池は、御舟遊びの場であり、島々を回りながら管弦や詩歌の会など雅な遊びが繰り広げられた事でしょう。
北側の池畔から窮邃亭の建つ中島に掛かる土橋
西浜を眺めるあずまや
高台に佇む隣雲亭
上離宮をあとにし出発点に戻ります。
下離宮の出口に当たる東門
念願の修学院離宮に最高の季節に訪れる事が出来、労を取っていただきました御夫妻に感謝いたします。