花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「メトロポリタン美術館展」のホルバイン(子)(^^;

2022-05-20 23:47:09 | 展覧会

サクッと感想の(2)はどうした?と笑われそうだが(汗)、それは後日ということで、今回来日が嬉しかったホルバイン(子)作品について触れたい。相変わらず横道に逸れるけど

スイスのバーゼル美術館で作品を色々観て、すっかりホルバイン(子)(Hans Holbein (der Jüngere), 1497/98 - 1543)が好きになり、やはりデューラーとともにドイツを代表する大画家なのだなぁと思う。(バーゼルではウチの画家だとの認識強し

ハンス・ホルバイン(子)《ベネディクト・フォン・ヘルテンシュタイン》(1517年)メトロポリタン美術館

作品からはベネディクトの若々しい自負心が透けて見えるようだ。私的には背景壁のマンテーニャ《カエサルの凱旋》フリース引用が驚きであり、なんだか嬉しくもあった

アンドレア・マンテーニャ《カエサルの凱旋》連作(1)(1484-92年頃)ハンプトンコート

https://www.rct.uk/collection/403958/the-triumphs-of-caesar-1-the-picture-bearers

ホルバイン父子はルツェルンのヘルテンシュタイン邸の装飾画を依頼されたようで、図録には「背景のフリース彫刻は、ヘルテンシュタイン邸の装飾と関連しており、また、当時広く流通していたマンテーニャの連作絵画《カエサルの凱旋》の複製版画にホルバインが影響を受けていたことを示している」とのこと

2018年秋に観たロンドン・ナショナル・ギャラリー「マンテーニャとベッリーニ展」では、ハンプトンコートから連作中3点が出展され、その大画面の迫力に圧倒されながらも、凄く嬉しかった記憶がある。

さて、この室内装飾としてのフリース彫刻であるが、美術ド素人的に興味深いのは、イタリアにおける室内装飾の影響ではないのか??と思われたのだ。当時、多くのスイス人が傭兵としてイタリアに流入しているので、先進国イタリアの室内装飾を含めた文化的流行がスイスに影響を与えてもおかしくはない。

ドメニコ・ギルランダイオ&工房《マリアの誕生》トルナブォーニ礼拝堂壁画連作「聖母マリアの生涯」(1485 - 1490年)サンタ・マリア・ノヴェッラ教会

当時のトルナブォーニ家はフィレンツェでも大金持ちだから、室内装飾もきっと流行の先端を行っていると思うのだが...(推測)。フリース装飾を背景に描いた他の例(作品)はもっとあるような気もするけどね。

それとも、肖像画の背景に、室内装飾としてフリース彫刻を描くことにより、人物や物語の隠喩的説明を付加しているのだろうか?? もし、そうとだしても、この描き方もフィレンツェ・ルネサンスからの影響と言えると思うのだけど、どうなのだろう???

ということで、相変わらずの美術ど素人の寄り道探索だったが、やはり混迷の末の迷宮入りかしらね