花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ブリヂストン美術館「坂本繁ニ郎展」

2006-07-03 01:46:58 | 展覧会
6月は色々あり過ぎてブログをすっかりサボってしまった。それでも観たい展覧会だけはちゃんと行っていた花耀亭である(^^ゞ。できれば遡りながら感想文など書いてみたいのだがどうなることやら。

さて、7月に入り第1週はブリヂストン美術館で「坂本繁ニ郎展」を観てきた。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/noplugin.html

東京美術倶楽部の「大いなる遺産展」でも印象的だった馬の博物館所蔵「月光」を描いたのが坂本繁ニ郎だと気がついたのはHNK新日曜美術館でだった。そう言えばゲストのokiさんもブログで扱っていたなぁと、なんだか興味が出てきて見に行くことにした。

坂本は絵を学ぶためフランスに渡航したのだが、後輩の画家には学ぶものが無いと洋行を薦めなかったそうだ。が、しかし、今回の展覧会を観ていると、やっぱり印象派の影響をしっかり受けているじゃないの、と思った(笑)。本人はきっと否定するかもしれないが、モネの色使いを彷彿する作品も何点かあり、フランス印象派的なニュアンスに富む色彩が単純化された造形に持ち込まれていて、意外にも日本の洋画っぽくない。

やはり展示で目につくのは馬を描いた作品が多かったことで、佇む松間の馬や「水より上がる馬」の動的な時間と馬の躍動感と持った姿など、馬に魅了された画家の新鮮な眼差しが伝わって来るかのようだった。でも、私的にはどうも月と馬のシリーズが良かった(^^;;。坂本は晩年「月」をテーマにしていたようで、月のファンタシウムが満ち溢れた作品はかなり好きかも。月も象徴の世界だとは思うのだけど、坂本の描く雲も独特で、風景画の白い雲なんて単純化され、なんだかマチスっぽいなんて思ってしまった。抽象化されるとこうなるのよね、きっと。

実を言うと、私的には馬の絵よりも坂本の静物画に興味を持った。柿などの果物の実在感、砥石や箱のような立体静物の組合せが面白い。箱シリーズなんてちょっとモランディみたいじゃない?まぁ、モランディにはモノとモノとの間に静かな緊張感を感じるのだが、坂本作品には立体の光と影の織り成す色彩の組み合わせに調和への模索と意思を感じる。この調和っていうのが日本的に思えて、なんだかうまく説明できないけど、モランディとは描こうとするものが違うんじゃないかと思う。それがどーしたと言われれば、そうなんだけど (^^;;;

さて、今回の展示作品で特に目が惹かれたのは、能面シリーズの中の1作品で、能面が緋色の海に漂い浮かびあがるような作品だった!一瞬緋色が血色を連想させぎょっとしてしまった(^^;;。他作品でも能面の裏側を描いたりと、坂本の能面シリーズには人間の仮面と内面の象徴性を感じてしまう。フランス留学から帰国して以降人物画が少ない分、この能面に画家の人間洞察を見てしまうのは暴走だろうか?

ということで、以上、美術ド素人の勝手言いたい放題をお許しあれ(^^;;;