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カウンターにかけると一間竜ほどの距離で大将と向かい合った。
「二枚銀を」
「あいよー」
まずは小手調べに二枚銀だ。
「へいお待ち、二枚銀です」
よい腕だ。早く、正確で、味も申し分ない。
「銀矢倉と銀冠を」
「あいよー」
順番だ相性だと気にする者もいるが、寿司は自分の好きに頼むのがいいだろう。
「へいお待ち、銀矢倉と銀冠です」
くーっ、利かせやがったな! いくら山葵が強く刺激してきても、表情なんて変えるものではない。寿司はデュエルではないか。安易に弱みは見せられない。
「腰掛け銀と早繰り銀を」
「あいよー、銀がお好きですかい」
「まあそうね」
今日は銀尽くしといこうじゃないか。
「へいお待ち」
おっと、これは何だ?
「カニカニ銀、こちらはサービスで」
「あー、これはバランスが取れてますな」
なんて素敵な店だろう。調子に乗って行くか。
「銀多伝を」
「……」
「金目鯛ですな」
「銀多伝を」
「お客さん、申し訳ない。銀が切れてしまって」
「何?」
ウォォオォォーーーーーーーーーーーー!
その瞬間、私は燃え上がる龍となり大将を丸飲みした。
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