眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

虚脱のはじまり

2019-08-14 06:38:00 | 【創作note】
何から手をつけようと考える内に
何もできなくなってしまった

ずっと書いてきた
毎日毎日書き続けてきた
それはみんな思い過ごしだった

「たくさんたくさん歩いた」

そう言っているのは
窓の縁をさまよっている昆虫だ
カーテンレールに少し触れただけ
やっぱりどこにも行っていない

僕は何も書いてはいなかったんだ

さあpomeraを閉じて
アイスクリームを食べよう
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野蛮な知性

2019-08-14 03:31:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
権力が戦車を押して日常に生きる自由をなぎ倒した日
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将棋チャンネルと将棋メシ

2019-08-13 21:41:00 | フェイク・コラム
 ネットテレビでは将棋の対局が毎日のように中継されている。
 将棋の対局は基本的に長時間に及び、ずっとそれだけを見ているのは気が遠くなる。サッカーやテニスのようにボールがめまぐるしく動くわけではない。ほとんどの時間、何も動かないのだ。映し出される盤面は、難しい局面では、1時間に1センチ、ほんのひとこましか動かないこともある。動きとしては他に、棋士が正座になったり胡座になったり、お茶を飲んだり天を仰いだり俯いてため息を漏らしたりするくらいだ。
 そこで登場するのが解説や聞き手と呼ばれる先生たちである。彼らは対局室とは離れたスタジオにいて、大盤を用いて指し手をわかりやすく解説してくれるのだ。それにしても専門的なことはよくわからない。早繰り銀だ超速銀だ棒銀だ銀冠だと言われても銀が関わるというくらいしかわからない。矢倉だ雁木だ振り飛車だ横歩取りだと言われてもついていけない。ひねり飛車だ猫式縦歩取りだとなるともうさっぱりわからない。
 でも話はそんなに専門的なことばかりではない。大盤は常にそこにあるものの、局面がそう動かないのだから、そんなに解説することがあるわけがない。将棋の話はそこそこ、先生たちはその内に自由に話を広げ始めるのだ。言ってみればそれは長い長いフリートークだ。それならサッカー観戦のようにかじりついて見る必要もない。肩の力を抜いて見ることができる。見るまでもなく聞いていることもできる。

「将棋チャンネルはラジオのように聞くこともできる」

 ランチタイムが近づくと話題は決まってご飯の話になる。対局室に係の人が出前の注文を取りに現れるのだ。メニューをパラパラとめくってこれという物に指をさす棋士。それが将棋メシ(勝負メシ)である。
 勝負メシは後に写真つきで紹介もされる。その頃になるとちょうど見ている側もお腹が空いており、思わず同じものを食べたくなったりする。三間飛車の使い手も相振り飛車のスペシャリストも、自分たちと同じように、うどんを食べ親子丼を食べそばを食べカレーを食べる。今まで遙か遠いところに見えた棋士という存在が、急に身近に感じられる瞬間だ。うどんを食べて戻ってくる棋士を応援したくもなるというものだ。

「関西の丼には一緒にうどんがついてくる」

 腹が減っては戦はできぬ。しかし、問題は無事に空腹を満たした後にも潜んでいるようだ。昼食休憩を終えて対局が再開される、次の一手に悪手が出やすいらしい。棋士も人間、正確な読みの隙間にうどんやそばの一切れが入り込み、誤算を生むのだろうか。勝負メシの後の一手に注目だ。

「メシのあとの悪手にご用心」

 さて、魔の時間帯を無事に乗り越えるといよいよ戦いは本格的な局面に突入する。そうは言っても指し手はバタバタと進むものではない。依然として時間はたっぷりと残っており、解説の先生たちは難しい局面にのみ触れている場合ではない。プライベートな一週間を振り返ったり、朝からの指し手を振り返ったり、昼食の勝負メシを振り返ったりして時間をつなぐ。そうしている内に時は流れ、夕暮れともなると対局室にはメニューを持った係の者が姿を見せる。夜の将棋メシの注文である。長い夜戦を見越してしっかりとエネルギーを補給するのか、あまり胃に負担をかけないように軽いもので済ませるのか、それは局面の状態や考え方にもよる。休憩の間は持ち時間が消費されることはない。しかし、うどんを食べながら考えることはもちろん自由だ。

「長い戦いでは勝負メシは二度ある」

 長時間に及ぶ解説(トーク)も楽ではない。夜遅くなると先生たちも順に出番を終えて帰って行く。勝負は終盤に向かい徐々に終局へと近づく。だいたい最後は玉の頭に金が乗って終わる。しかし、中には例外もある。玉の囲いの周辺で攻め手の金と受け手の金が取って打っての平行線をたどり始めたような場合だ。数手一組の手順を経て同一局面に戻っている。これが一定の回数繰り返されると「千日手」の成立である。

「千日だって繰り返される、それが千日手だ」

 千日手はどちらも負けではない。その瞬間、一旦引き分けとなり、少しの休憩を入れて先後を変え指し直しとなる。深夜になっていたとしても、改めて初手から始まるのである。持ち時間は随分と減っており、そこからは短期決戦だ。

「千日手の後の短期決戦は集中力が試される」

 深夜ともなれば見ている方も疲労が溜まっている。少し睡魔に寄られながら大盤を見ると解説の先生がついに一人になっている。

「ダブル解説からついにシングル解説へ」

 一人で手順を述べ駒を動かし所見を示し頭をひねり駒を動かし……。一人仕事は何かと苦労が多そうで、ここに至って聞き手の存在の大きさを知る。局面は一気に終盤へと向かっていく。詰むや詰まざるや。そこが問題だ。持ち時間を使い果たすと一手60秒未満で指し続けなければならない。画面の端から先生が戻ってきた。再び安定のダブル解説へ。若手の先生は九段の先生を見捨ててはいなかった。

「帰ってきた先生。やはり解説には二人の力が必要」

 ついに手段が尽きて敗者は頭を下げた。
 黙ったまま一日を戦ってきた棋士がぼつりぼつりと話し始める。局面はふりだしに戻り。初手から改めて並べ直す。感想戦の始まりだ。
 今まで言えなかった本音をぶつけ合う二人。それにしても難しい。それはまるで宇宙人の会話のようだ。
「それでは一局を振り返りましょう」
 感想戦にもやっぱり解説があった方がいい。

「頼りは解説。対局者の言葉を翻訳し伝えてくれる」


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やっつけ会議

2019-08-13 08:39:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
簡単にいじめはなしと片付ける朽ちた職員室の神々
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あられ花火

2019-08-13 04:17:00 | 忘れものがかり
「あられが好き」

あの子は言った
今ならその気持ちにも
寄り添うことができそうだ

一口あられを口に放り込む
一瞬の旨味を残し消えていく

なんて儚い 

夏空に広がる打ち上げ花火みたい
(ああ、生きてるんだ)
その刹那に生を実感するようになった

「あられが好き」

あの子はそう言って
僕の前から去っていった
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クロスロード/よそ者

2019-08-12 18:30:00 | 【創作note】
 数年前に越してきた借家の前には大通りがある。
 それとほぼ平行するように中通りがあるのだが、その道筋はほとんど軽視したまま時が経っていた。

 古民家カフェの高い椅子にかけて足をぶらぶら浮かせながら夢の話を書いていた。テーブル席が空いても店主から引っ越しの提案もなく、覚悟を決めて書いた。夢の話を書いているので少し浮いているくらいがちょうどいい。90分もすると足を浮かせるのも疲れて店を出た。
 グーグルのナビに従って細い道を歩き歩き、たどり着いたかどっこのうどん屋はまだ開いてない。更に足を伸ばす内にグーグルが居心地よしとする町の中華屋に着いた。扉を開けると薄暗い店内で男は夕方の情報番組を見ていた。

「いらっしゃい」
 客席から立ち上がって明かりを灯したのが店主に違いない。
「五目ラーメン」
「はい」
 奥の厨房に入り鍋を振る店主はタンクトップ一枚で旅する画家のように見えた。評判通り懐かしく落ち着いた味だった。
「ありがとう」
 大将は笑いながら二度礼を言った。
 歩き始めて現在地はよくわからなかった。

「ここはどこ?」

 そこは初めて見るような交差点。
 こんなところにバス停が。
 こんなところにスーパーが。
 こんなところに町の人が。
 こんなところにマクドナルドが。
 アイスコーヒーを頼むと100円だ。
 安い! 昔から変わらないな!
 二階に上がると人は疎らだ。
 静かに勉強する中学生に交じって、自由に活動する小学生の姿が見えた。
 角っこに腰掛けると居心地がよくて長居したくなった。
「寒くない!」
 グーグルで調べてみると現在地は家からそう遠くない!
 軽視していた中通りを突き進んだ先にある交差点だ!
 ここのマクドナルドは24時間営業だ!

カーテンを引っ張り窓の外に何かを発見する男子
突然始まる記念撮影
意味不明の奇声
新しく生み出され続ける変顔
徐々にヒートアップする小学生
不思議なおどりを踊り始める
元気が余っているのだろう

pomeraを開き
小学生たちを意識の外に追い出して
自分の世界に入り込んだ


 『小さな覚悟』

 突然夜が明るくなったら
 UFOがきたもんだ

 「やっときたか」

 えっ 僕じゃないの?
 つかえてるの……
 そっか

 ここで頑張れって……
 仕方ないね


6月終わりの日が暮れかけていく
まだ小学生は帰らない
宿題を終えた中学生が
ついに一緒になって踊り始めた

ここにいる子は「みんな友達」だ!

踊りが終わればもう下りていくはず
期待とは裏腹に
新しい友達が駆け上がってきた
塾が今終わったとこだとか
ヘイヘイヘイ!
勢いを増していく踊りの輪
パンパンパン!
頬を打つパーカッション

しまった!
「部外者」は僕だけだ!
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遠投サマー

2019-08-12 18:16:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
エンゼルを土星に投げてしんちゃんが口笛吹いたサンボマスター
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ロック・フェス

2019-08-12 12:32:00 | ワニがドーナッツ!
エントリーは受け付けている
3曲、4曲演奏して
バンドは去っていく
入れ替わるように
また次のバンドが登場する

バンドは生まれ続けている
人々は入れ替わっていく
年齢も人種も宗教も言語も色々
スーツのグループもアロハな奴らも

目当てのバンドが見えた時
僕らはステージの前に集まって
首を振って拳を突き上げて
一緒になって熱唱する

それが終わると箸休め
広場に行って水をあび
ボール遊びに興じる
寝っ転がってマンガを読んで
昼寝して子犬と駆け回って

一旦家に帰って
日曜を越えて会社に行って
汗をかいてストレスを溜めて

フェスにカムバック!

イエー まだやってるよ!

ワニがドーナッツ!

わがままなバンドのジャック
コント・ユニットの登場
エアーギターにリズムネタ
隣の畑から持ち込まれた笑いというエキス

こういう時間も必要

扉は開き続けている
今からでも遅くない
今見ている人も
向こう側へ渡ることもできる

エントリーは受け付けている

フェスはまだ開いている

夏いっぱいに
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何もしない贅沢

2019-08-11 10:48:00 | 【創作note】
どうもまるでやる気がしない

そんな時には何もしないに限る
フードコートの喧噪に隠れて
ちょびちょびとコーヒーを飲む

人々が忙しなくランチを取り
三人寄って議論を交わし
ペンを回して何かを生産している時に
僕はただ何もしないで
ゆっくりとゆっくりと
一杯のコーヒーを飲むだけ

pomeraは最初から閉じられている
こんな日に更新される
#note は一つもない
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ベンチ・スタート

2019-08-10 10:39:00 | ワニがドーナッツ!
「みんなもう気づいている頃だと思うが、このままではまずい」
「ここから巻き返しましょう」
「このまま行ったら勝てないよ」
「いつか流れが変わりますよ」
「なかなか勝てないよ。みんな強いんだもん」

ワニがドーナッツ!

「監督。そんなに弱気になることはありませんよ」
「そうですよ! 監督!」
「監督! 今こそ気持ちを一つにして頑張りましょう!」
「みんなはこれまでだって頑張ってきたさ」
「監督……」
「これだけ勝てないってことは戦術が悪いんだろう」
「監督。何言ってるんですか」
「間違ってないですよ」
「そうですよ。監督は間違ってないです!」

ワニがドーナッツ!

「まだ浸透してないだけですって」
「そうですよ。間違ってないですよ」
「浸透してるから勝てないんだろう」
「監督。何いってんすか」
「弱気じゃないっすか」
「それでも変えなきゃならん。このままでは降格だ」
「そんなことないですって」
「お前たち。足下をよく見るんだ!」

ワニがドーナッツ!!

「変えずに行きましょうよ」
「このままこのまま」
「監督は間違ってない」
「ラフに行きましょう」
「こっからじゃないすか」
「お前たちが何と言おうと」
「監督……」
「もう決めたんだ」

ワニがドーナッツ!!

「監督!」
「すべてチャラにする」
「そんな無茶な!」
「それは無茶だ!」
「無茶なことだ!」
「無茶苦茶だー!」

!ワーニがドーナッツ!

「みんな忘れて原点にかえるんだ」
「そんなー」
「無茶だよー」
「変えずに行きましょうよ」
「今更かーい」
「ずっとやってきたじゃないですか」
「今までのは何だったんすか」
「そう。みんな間違いだったんだよ」

「……」
「……」
「……」
「……」
「……」

「明日からはゼロトップで行くぞ!」

ワニがドーナッツ!!!

「はーっ。やだー。俺、ベンチかよー」

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アスリート宣言

2019-08-09 08:48:00 | フェイク・コラム
 物書きはアスリートである。
(人間のやることはみんなスポーツだ)
 長く書き続けていくためには、姿勢が大事なのではないかと思う。負担が少なく、疲れにくい姿勢。あるいは勢いを持って書き進められるような姿勢だ。
 みんなはどんな姿勢で物を書くのだろうか。椅子にかけたり、立ったままだったり、ソファーに横になって、ベッドに仰向けになって、歩きながら、壁にもたれかかって……。姿勢は成果に直結する。

 同じアスリートである棋士を例にみてみる。彼らの対局は長い時には持ち時間各6時間もある。双方使い切って秒読み勝負までいくとすると、半日以上も盤を挟んで戦うことになる。彼らの多くは座布団の上に正座していることが多い。長考する場合には胡座になることもあるが、いざ次の一手を着手する時になるとやはり正座に座り直すようだ。中にはほとんどの時間を正座で通す棋士もいる。また、地蔵のように動かず読み耽る棋士もいるということだ。
棋士の頭の中には将棋盤が入っている。その中で金や銀や飛車や角を自在に動かすことができる。本当は目をつむったまま、寝転がったまま、いくらでも先を読むことができる。それでも背筋を伸ばして長い時間、盤の前に座り続けている。きっとそれが彼らが力を最大限に発揮できる姿勢だからだろう。

 F1ドライバーの運転席は実に窮屈だ。それはくつろぐためのスペースとはわけが違うからだ。彼らに求められるのは極限のスピードだ。車窓から移り変わる景色を眺めて楽しむ、そんな日常的なドライブとはまるで走る世界が違う。より人より速く走るために。無駄な要素を切り詰めた空間の中で、ドライバーは驚くべき姿勢をとっている。

 選ぶべき姿勢は目的によって大きく異なる。
 一口に座ると言っても、座る姿勢はみな同じではない。
 物書きとして長く続けていくために最も適した姿勢は何か。日々それを研究し極めていくことが大切だ。
 物書きたちは今日も街に出かけていく。物書き的な実験を広い心を持って許してくれる、そんな環境を探して。
 
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はないちもんめ夏

2019-08-09 08:08:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
今炊けたご飯を置いて素麺よあなたが欲しい花一匁
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カレンダーをめくれ

2019-08-09 04:30:00 | マナティ
「マナティ、カーテンを開けて」
「ラ」
「タイム・コントロールをかけて」
「ラ」
「マナティ、昨日はどこまで行ったかな」
「15行目までです」
「そうだったか」
「そこで行き詰まってしまったようです」
「そうだな」
「最初に書かれた3行はすぐに消されました」
「あれはどうしようもなかった」
「データが残っています。復元しますか?」
「よしてくれ。2度と見せないでくれ」
「はい。ではそのように」
「お湯は沸いてる?」
「今、沸いたところです」
「ポタージュかなコンソメかな」
「70パーセントの確率でポタージュを飲まれます」
「そうか」
「でも、お好きな方をお選びください」
「では、今日はポタージュにしておこう」
「なるほど」
「まだ体が冷えているようだ」
「マナティ、午後の予定はどうだった?」
「イオンタウンでコーヒーを飲む予定が入っています」
「それは外せないな」
「はい。幸い今日の天気は良好です。最高気温は16℃の予定です」
「それじゃあ、コートはいらないな」
「はい。念のためマフラーを持っていくといいでしょう」
「そうだな。ありがとう、マナティ」
「北風が多少強いこともありそうです」
「うん。夜は何かあったかな」
「遅い夜で結構ですが、カレンダーをめくらねばなりません」
「それは忘れるとこだった。でも、やっぱり忘れそうだ」
「では夜にもう一度お知らせするとしましょう」
「悪いがそうしてもらえると助かるよ」
「それではそのように」
「ああ」
「季節の変わり目は体調管理にお気をつけください」
「ありがとう。マナティ……」
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失われた居場所

2019-08-08 19:20:00 | 【創作note】
営業時間はおおよその目安と心得ておけ



さあランチを食べようと意気込んで
店の前まで来たけれど
いくら待っても開きはしない
僕は何度も時計を見る
とっくに11時を回っている
今か今かと待っている
人の気配が感じられない
物言わぬシャッターをずっと見ていた



深夜にお風呂屋さんに行った
まだ24時までには少し余裕があった
僕の他には誰もいなかった
湯船に浸かりそろそろ出ようと思っていた
その時突然真っ暗になった
「すみませーん! まだいます!」
僕は声を上げて自分の存在を訴えた



「18時半までです」
18時くらいと思っていたので
30分がおまけのようでうれしかった
僕はゆっくりとpomeraに打ち込んだ
1時間ほどしてコーヒーもすっかり空になった
18時も回ったしそろそろ帰ろうかな

タグをつけたり上書き保存したりしていた
その時、店の女の人が何か言う声がした
「そろそろ店内を片づけたいのですが……」
「あー。はい」
……に言葉を埋めるなら
(出て行ってもらえる?)
僕は瞬時に自分の居場所を失ったことを悟った
やっぱりおまけだ
ついてないこともあるよね
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メインイベント

2019-08-08 19:15:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
解説を置いて帰った先生のあとに相振り飛車の駒音
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