僕は5人の少年が怖かった。ずっとずっと前から。彼らは怖いものなしで、僕には怖いことだらけだったから。どこからやってきてどこへ帰って行くのか、まるで興味はないのに。彼らの話す大きな声が怖かった。高く響く笑い声が怖かった。
でーんと構えた男が前にいるのが怖かった。開いた足の隙間が怖かった。
おいお前! 突然飛んでくる声が怖かった。
「何か面白い話をしてくれよ」
何でもいいという漠然としたものが怖かった。なんとかなるものと、なんともならないもの、なんとかしろというもの、なんとでもなるものが、怖かった。帰らないものが、くっついて離れないものが怖かった。突然、ペンを投げつけてくるものが、私は怖かった。
5人の少年が私は怖かった。知恵を身につけた150人の大人が怖かった。
でーんと構えた顔が怖かった。顔のないものが怖かった。
5人の少年の笑い声が私の背中を刺して、私を恐怖の中に老いさせていくのでした。彼らはまるで怖いものなしで、私の周りには怖いもの以外に見えなかったのですから。約束を守らないものが、約束を守るだけのものが。すぐに刃向かうものと、決して刃向かわないものが。反省しないものが、反省しかしないものが。腕を組んだもの、足を組んだもの、手を組んだ5人の少年の……。何を恐れる必要が? 俺は5人の少年を恐れない。
6人でも7人でも、25人のメンバーでも、150人の派閥でも。俺は恐れない。
奴らは元をたどれば、赤子にすぎない。ミルクを欲しがるだけの赤子だ。
でーんと構えた男も、お前を武器にする男も。俺は恐れない。
恐れは自身の影だ。いいえ、その影の後ろにあるものこそ、私たちは恐れなければならない。
恐れは私を研ぎ澄ませる。生きて進むべき道を照らす光にもなるでしょう。
5人の少年が私は怖い。無数の虫がわしは一番怖いんじゃ。無数の虫がまとまってわしの方に向かってくる。
「しっ! あっち行け!」
無数であるだけに、その輪郭もわしに捉えきることはできん。お前たちわしが好きなんか?
突然の好きが、私は怖かった。離れていく好きが、私は怖かった。沈黙を守るのも破ることも、私は怖かった。
意を決して口を開けば、言葉は歪んだまま飛んでいき、相手の胸に突き刺さった。
ほらっ、また。傷ついて、傷つけて、傷ついて、傷つけて……。みんなみんな恐怖に値する。
「君、名前は?」
突然の問いかけが、僕は怖かった。
答える自分が、答えない自分が、5人の少年が、200年の大人が、みんな怖かった。
怖くて逃げたくて逃げられなくて、あきらめへと向かう心の道が、僕は怖かった。