眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

クロスロード/よそ者

2019-08-12 18:30:00 | 【創作note】
 数年前に越してきた借家の前には大通りがある。
 それとほぼ平行するように中通りがあるのだが、その道筋はほとんど軽視したまま時が経っていた。

 古民家カフェの高い椅子にかけて足をぶらぶら浮かせながら夢の話を書いていた。テーブル席が空いても店主から引っ越しの提案もなく、覚悟を決めて書いた。夢の話を書いているので少し浮いているくらいがちょうどいい。90分もすると足を浮かせるのも疲れて店を出た。
 グーグルのナビに従って細い道を歩き歩き、たどり着いたかどっこのうどん屋はまだ開いてない。更に足を伸ばす内にグーグルが居心地よしとする町の中華屋に着いた。扉を開けると薄暗い店内で男は夕方の情報番組を見ていた。

「いらっしゃい」
 客席から立ち上がって明かりを灯したのが店主に違いない。
「五目ラーメン」
「はい」
 奥の厨房に入り鍋を振る店主はタンクトップ一枚で旅する画家のように見えた。評判通り懐かしく落ち着いた味だった。
「ありがとう」
 大将は笑いながら二度礼を言った。
 歩き始めて現在地はよくわからなかった。

「ここはどこ?」

 そこは初めて見るような交差点。
 こんなところにバス停が。
 こんなところにスーパーが。
 こんなところに町の人が。
 こんなところにマクドナルドが。
 アイスコーヒーを頼むと100円だ。
 安い! 昔から変わらないな!
 二階に上がると人は疎らだ。
 静かに勉強する中学生に交じって、自由に活動する小学生の姿が見えた。
 角っこに腰掛けると居心地がよくて長居したくなった。
「寒くない!」
 グーグルで調べてみると現在地は家からそう遠くない!
 軽視していた中通りを突き進んだ先にある交差点だ!
 ここのマクドナルドは24時間営業だ!

カーテンを引っ張り窓の外に何かを発見する男子
突然始まる記念撮影
意味不明の奇声
新しく生み出され続ける変顔
徐々にヒートアップする小学生
不思議なおどりを踊り始める
元気が余っているのだろう

pomeraを開き
小学生たちを意識の外に追い出して
自分の世界に入り込んだ


 『小さな覚悟』

 突然夜が明るくなったら
 UFOがきたもんだ

 「やっときたか」

 えっ 僕じゃないの?
 つかえてるの……
 そっか

 ここで頑張れって……
 仕方ないね


6月終わりの日が暮れかけていく
まだ小学生は帰らない
宿題を終えた中学生が
ついに一緒になって踊り始めた

ここにいる子は「みんな友達」だ!

踊りが終わればもう下りていくはず
期待とは裏腹に
新しい友達が駆け上がってきた
塾が今終わったとこだとか
ヘイヘイヘイ!
勢いを増していく踊りの輪
パンパンパン!
頬を打つパーカッション

しまった!
「部外者」は僕だけだ!
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遠投サマー

2019-08-12 18:16:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
エンゼルを土星に投げてしんちゃんが口笛吹いたサンボマスター
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ロック・フェス

2019-08-12 12:32:00 | ワニがドーナッツ!
エントリーは受け付けている
3曲、4曲演奏して
バンドは去っていく
入れ替わるように
また次のバンドが登場する

バンドは生まれ続けている
人々は入れ替わっていく
年齢も人種も宗教も言語も色々
スーツのグループもアロハな奴らも

目当てのバンドが見えた時
僕らはステージの前に集まって
首を振って拳を突き上げて
一緒になって熱唱する

それが終わると箸休め
広場に行って水をあび
ボール遊びに興じる
寝っ転がってマンガを読んで
昼寝して子犬と駆け回って

一旦家に帰って
日曜を越えて会社に行って
汗をかいてストレスを溜めて

フェスにカムバック!

イエー まだやってるよ!

ワニがドーナッツ!

わがままなバンドのジャック
コント・ユニットの登場
エアーギターにリズムネタ
隣の畑から持ち込まれた笑いというエキス

こういう時間も必要

扉は開き続けている
今からでも遅くない
今見ている人も
向こう側へ渡ることもできる

エントリーは受け付けている

フェスはまだ開いている

夏いっぱいに
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