眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

メニューのないレストラン

2019-08-29 23:43:00 | ワニがドーナッツ!
メニューがないのは必要ないほど豊富にものがあるから
何でもあると店長は豪語している
もしもあなたが偶然そこに足を運ぶ日があったら
あなたの好きなものを何でも注文してみるとよい
気のいいマスターが二つ返事で引き受けてくれる
ヘイ、マスター!

「オムレツ」
「ないね」
あるものは何でもあるが例外もないわけじゃない
そんな時にはめげずに次をリクエストすること

「天ぷらうどん」
「ないね」
「何があるの?」
「何でもあるから言ってみ」

一つ二つの挫折にめげることはない
リクエストは募集中
さあ、切り替えていけ

「ペペロンチーノ」
「ない。はい次」
「ちらし寿司」
「それはない。あるもん言ってよ」
「パエリア」
「無茶はあかんで」

あなたは試されている
リクエストはどこまでも自由だ
何を言っても許される
しかしそれがまっすぐに通るかどうか
それはあなたのセンスにかかっているのだ

「枝豆」
「今はないね。次のリクエストは?」

惜しい
さっきまであったものが
今はない
一足違いで
あなたの欲しいものは
既に他人の胃袋の中へとけ込んでいった

「アイスコーヒー」
「あかんで。はい次!」
「ナポリタン」
「ないって! 早く作らせてや」

あなたは何でも注文することができる
何にしても外れはない
きっとあなたの胃袋は満足する
しかしたった一つだけ条件がある
リクエストはピタリとはまらなければならない
的外れでは通らない

「チーズピザ」
「次!」

たまたま上手く行かないこともある
それが自分の実力か
そういう運命なんだ
そんな風に決めつけるな
リクエストを止めたらそこで終わりだ
未来の扉は勝手に閉じたりはしない

「インドカリー」
「あいよー!」

ワニがドーナッツ!!!

「あるの?」
「当たり前や。何でもあんねん」
コメント
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