「ずっとそこにいたの?」
「そうだ。僕はずっとここにいたんだ」
薄型テレビの裏で二つの命が出会った。
「秋になったらいなくなるんでしょ。みんな行ってしまったよ」
「秋だって?」
「あなたは夏の詩なんでしょ」
夏の詩 夏の詩 夏の詩 夏の……
「いつの間に終わったの?」
疑問を投げつける虫 この虫は何者だ
「もうとっくに終わっているよ」
冷たく真実を告げる猫
「おかしいな。ようやく来たと思ったのに」
疑問を湧かす虫 本当の真実は虫の感性か猫の言葉か……
「眠りすぎたみたいね。さあ行きなさい」
「あなたは? あなたは行かないの?」
あんたは あなたは あなたは あなたは……
「猫には関係ない」
「どうして虫だけが季節に縛られるの?」
もう虫の心の中に秋が住み始めていた
「さあ。ずっと眠っていたからじゃない」
「えー。なんて」
聞こえない 猫の言葉なんて聞こえなかった
「夏になる前までずっと眠っていたからじゃない」
「あなただって眠るよね。ずっと眠るよね」
「まあね。それは生き物の特権だからね」
眠り それは夢の中の大冒険
「僕たちが眠るのは急いで羽ばたかなくちゃならないからさ」
眠り カブトムシにとってそれは壮大な助走だ
「全力の眠りというわけ」
「僕たちの眠りは……」
いまあふれだす眠りに対する想い
「さあ、もう行きなさい。秋の虫たちが押し掛けているわ」
別れを告げる猫 それはふたりの運命?
「もう行くところなんてない! 僕は乗り遅れたんだ!」
「それでも行きなさい。それがあなたの運命よ」
「だけど、もう周回遅れなんだ」
「誰が決めたの?」
猫の中にあふれだす疑問符 ? ? ?
「出し遅れたジャブは当たらないんだ!」
「だったら試してみる?」
猫が繰り出したパンチ それは驚くほどのストレートだった
「僕には止まって見えるよ」
想像を絶するカブトムシの身体能力
へし折られた猫のプライド その時猫は……
「さあ、秋が浅い間に行くのよ」
「僕のことを聞いてくれる?」
「あなたはどうしたいの?」
カブトムシの心に猫は最後の足跡を残したかった
「僕はね。僕は亀のカブトムシなんだ」
「ふふふ。奇妙な名前ね」
その時 猫は精一杯の声を出して笑ってみせた
「あなたは?」
「私は人の猫よ」
人の猫 人の猫 人の猫 人の猫……
「始まりませんよ。何も」
「えー。だって今、予告編が流れたじゃないですか」
「気のせいでは?」
「そんな。猫とカブトムシが出会ってそれで秋が……」
「このガジェットはネットにはつながっていません」
「えっ? じゃあ」
「何にもつながっていません。映像なんて流れないんです」
「じゃあ、私が見ていたのは……」
「あなたは自分の頭の中を見ていたのではないですか」
「そうかな。自分の中の出来事とはとてもかけ離れていた」
「あなたは自分のすべてを知っているわけじゃない」
「まあ、それはそうだけど」
「このガジェットは、自分から打ち込まなければ始まらないのです」
「そうでしたか」
「このガジェットは、あなたにしか向いていない」
「私は何を打ち込めばいいのでしょうね」
「とても簡単なことです」
「それは」
「あなたの好きなことですよ」
「そうだ。僕はずっとここにいたんだ」
薄型テレビの裏で二つの命が出会った。
「秋になったらいなくなるんでしょ。みんな行ってしまったよ」
「秋だって?」
「あなたは夏の詩なんでしょ」
夏の詩 夏の詩 夏の詩 夏の……
「いつの間に終わったの?」
疑問を投げつける虫 この虫は何者だ
「もうとっくに終わっているよ」
冷たく真実を告げる猫
「おかしいな。ようやく来たと思ったのに」
疑問を湧かす虫 本当の真実は虫の感性か猫の言葉か……
「眠りすぎたみたいね。さあ行きなさい」
「あなたは? あなたは行かないの?」
あんたは あなたは あなたは あなたは……
「猫には関係ない」
「どうして虫だけが季節に縛られるの?」
もう虫の心の中に秋が住み始めていた
「さあ。ずっと眠っていたからじゃない」
「えー。なんて」
聞こえない 猫の言葉なんて聞こえなかった
「夏になる前までずっと眠っていたからじゃない」
「あなただって眠るよね。ずっと眠るよね」
「まあね。それは生き物の特権だからね」
眠り それは夢の中の大冒険
「僕たちが眠るのは急いで羽ばたかなくちゃならないからさ」
眠り カブトムシにとってそれは壮大な助走だ
「全力の眠りというわけ」
「僕たちの眠りは……」
いまあふれだす眠りに対する想い
「さあ、もう行きなさい。秋の虫たちが押し掛けているわ」
別れを告げる猫 それはふたりの運命?
「もう行くところなんてない! 僕は乗り遅れたんだ!」
「それでも行きなさい。それがあなたの運命よ」
「だけど、もう周回遅れなんだ」
「誰が決めたの?」
猫の中にあふれだす疑問符 ? ? ?
「出し遅れたジャブは当たらないんだ!」
「だったら試してみる?」
猫が繰り出したパンチ それは驚くほどのストレートだった
「僕には止まって見えるよ」
想像を絶するカブトムシの身体能力
へし折られた猫のプライド その時猫は……
「さあ、秋が浅い間に行くのよ」
「僕のことを聞いてくれる?」
「あなたはどうしたいの?」
カブトムシの心に猫は最後の足跡を残したかった
「僕はね。僕は亀のカブトムシなんだ」
「ふふふ。奇妙な名前ね」
その時 猫は精一杯の声を出して笑ってみせた
「あなたは?」
「私は人の猫よ」
人の猫 人の猫 人の猫 人の猫……
「始まりませんよ。何も」
「えー。だって今、予告編が流れたじゃないですか」
「気のせいでは?」
「そんな。猫とカブトムシが出会ってそれで秋が……」
「このガジェットはネットにはつながっていません」
「えっ? じゃあ」
「何にもつながっていません。映像なんて流れないんです」
「じゃあ、私が見ていたのは……」
「あなたは自分の頭の中を見ていたのではないですか」
「そうかな。自分の中の出来事とはとてもかけ離れていた」
「あなたは自分のすべてを知っているわけじゃない」
「まあ、それはそうだけど」
「このガジェットは、自分から打ち込まなければ始まらないのです」
「そうでしたか」
「このガジェットは、あなたにしか向いていない」
「私は何を打ち込めばいいのでしょうね」
「とても簡単なことです」
「それは」
「あなたの好きなことですよ」
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