眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

でかきつねうどん

2023-10-27 17:37:00 | この後も名人戦
「名人が注文されたのはきつねうどん。これは上に大きなあげ、きつねでしょうか。このきつねが邪魔になってうどんが食べにくいことはないんでしょうか?」

「何をおっしゃる。そんなわけないじゃないですか。田辺さん」

「えへへ」

「いいですね。やっぱり、うどんは」

「この後も、名人戦をお楽しみください」

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ガレージ奥の診断

2023-10-27 02:00:00 | いずれ日記
頭痛、鼻水、発熱、倦怠感……
何れかに当たる方は、事前の予約が必要となります。

 クリニックの前であてが外れた。何れかどころか、そのほとんどが当てはまる。今からお願いしたいと電話した後で、財布を見ると千円しか入っていなかった。大きな病院でなければ、現金以外は絶望的だ。僕は5時半に予約して現金を取りに戻った。家に着く頃にはもう5時半が近づいていた。いつもよりも道が遠く感じられる。再度電話して予約を6時に変更してもらった。「予約ですので……」時間を守るように厳しく念を押された。

 5分前に着いた。扉の前に立っているとしばらくして中から看護師が出てきた。検査は外で行われるという。壁沿いをまわり緑の自転車のところで待つように指示される。歩いて行くと自転車の横のシャッターが上がり始めた。ガレージのようだ。奥から先ほどとは違う看護師が出てきた。

「中へどうぞ」

 一瞬、車のドアに手をかけそうになった。奥のプレハブ小屋の中はピロピロ・カーテンで仕切られていて、丸椅子が2つばかり置かれていた。インフルエンザの検査をした経験があるかと看護師はたずねた。指のならあると答えると彼女は少し首をひねっていた。ティッシュを手渡し、10秒耐える約束をすると、鼻の中に綿棒が入ってきた。僕は顔を歪めうめき声をあげた。5分待てと言い残して彼女は去っていった。
 仕切の向こうに手袋をした男が現れた。

「コロナ」
「コロナ?」
「そう、コロナ」
 明日からの仕事はどうすべきかとたずねた。医者は休めと答えた。

「どこがしんどい?」

 僕は咳が出るのがしんどいと答えた。しんどくないのにどうして来たのだと言って医者は不機嫌そうな顔になった。仕切越しのため上手く伝わらないのだろうか。想像していた医者とは、少し違う。薬は並の奴でいいかと医者はたずねた。いいのは早く治るが9000円だと言う。飲まずに平気かと僕はたずねた。高くつくので普通の人は頼まないと医者は言った。その後のことは看護師に聞くように。とりあえず10日分の薬を出すと言った。10日だと?

 看護師が検査キットを2つ持って戻ってきた。証拠になるので写真を撮っておけと言う。代金は4000円と少しだった。5日が過ぎれば後は自己判断で何とかせよ。何かあればこちらへとチラシのようなものと処方箋を持たせてくれた。

「今日はどうされました?」

 近所の薬局に閉店前に駆け込んだ。

「コロナ」

 返事は特になかった。
 痛み止めと10回分の咳止めを受け取った。500円くらいだった。

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