君は忘れて行ったのではない。あえてそこに置いて行ったのだ。後のことをすべて見通して、その時のために活躍する風景を描いた上で。何も伝えず、君の足跡さえも一切残らないようにして。君は昔からそういう生き物だった。もう君はいない。何も感謝を伝えることはできなかった。僕はそれを見つけた。見つけたものがそれを使うことができる。僕にできることは勝つことだ。君の残した小さな一歩が、いま銀の頭を叩こうとしている。
・
ヤドカリが
きびすを返す
道場に
馬の残した
歩が落ちている
(折句「焼き豆腐」短歌)
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ヤドカリが
きびすを返す
道場に
馬の残した
歩が落ちている
(折句「焼き豆腐」短歌)